「PTSD」発症メカニズムを解明! 「治療薬開発の大きな一歩」東大研究チーム発表
PTSDとは?
編集部: 今回の研究テーマとなったPTSDについて教えてください。 伊藤先生: 「PTSD:Posttraumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)」とは、生死に関わるような事故や災害、暴力などのトラウマ体験の記憶を原因とする精神疾患です。日本の総人口の1.3%に生じるとされています。 PTSDの症状としては、強い恐怖などの記憶が何度も思い出され、その場に連れ戻されたように感じるフラッシュバックと呼ばれる再体験症状や、ドキドキしたり、物音に驚きやすくなったりする過覚醒症状、事件を思い出させるものに近寄れなくなるなどの回避・麻痺症状があります。また、以前は楽しめていたことが楽しめなくなったり、孤立感が出たりと、気分と認知の陰性変化も出てくる恐れがあります。 「PTSDは3カ月以内に半分以上の患者が自然回復するとされますが、1年以上経っても一定数は自然回復しない」という研究もあります。認知行動療法や薬による治療がおこなわれています。
今回の研究内容への受け止めは?
編集部: 東京大学らによる研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。 伊藤先生: PTSDには有効な治療薬が少なく、医療現場でも治療に難渋するケースが多々あります。今後の新薬開発に向けて大きな一歩と捉えています。
編集部まとめ
東京大学らによる研究グループは、PTSDに関係する遺伝子を特定して、発症メカニズムを解明したと発表しました。日本人の1.3%に生じるとされるPTSDの発症メカニズムを解明した今回の研究は、大きな注目を集めそうです。
【この記事の監修医師】
伊藤 有毅 先生(柏メンタルクリニック) ・専門領域分類 精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。 ・保有免許・資格 医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医