【後編】麒麟・川島が漫画『バンオウ-盤王-』で気づく若手芸人への対抗心。原作・綿引智也&作画・春夏冬画楽×麒麟・川島明鼎談(『週プレNEWS』ロング版)
川島 みなさん笑ってますけど、でもほんまに「1戦1戦命かけてたらそうやるよな」って思いましたね。やっぱ勝ちたい欲というか、若いやつが出てきたら、ベテラン側でもそう思うもんなんだなという風に感じて。 僕らもこないだ、自分的にはすごい緊張してる『IPPONグランプリ』っていう仕事があって、まあ大喜利の、ほんまにガチなんで読み合いというものあるんですけど、まあ10回20回ぐらい出てるんであれなんですけど、僕のブロックが僕とアンガールズ田中君が同世代ぐらいで、あとはヒコロヒーとサルゴリラの赤羽君、ロングコートダディの堂前。キャリアで言ったら10個下がたまたま一緒になるブロックになっちゃったんです。 その時にちょっと感じたのは、「すごい次世代になったんやな、もう」っていう。「もうここでボタンめっちゃ連打して大喜利やんのも、あと何年なんやろ...」みたいなことを感じて感傷的になってたんですけど、ふたを開けたら僕と田中ばっか連打してる(笑)。 一同 笑 川島 ゴリッゴリ必死やって(笑)。最後サドンデスやるっていう...全然負ける気なかったです。嬉しかったですね、自分で。「僕、まだこんな必死なんやな」って。さっきまで若手にボタンの押し方とか教えてたのにもう、画面を見んとめっちゃ連打して。ブロック勝ち上がったんですけど。 ――深層心理ではやっぱり、そうなっちゃうというか。 川島 絶対にあったっすね。これももう「キャリアで」とか「次の世代なんで」とか、口だけやなと思いました。めちゃくちゃ僕と田中が燃えてんの見て、めっちゃ引いてましたから若手3人(笑)。「そんな押すんすか...」、みたいな。 ――新世代の台頭には祝福しつつも、やっぱりライバルとして見ちゃうもんなんですか? 川島 もちろんですね、やっぱ面白い子ばっかり増えてるし、それこそ研究の時間が違うと思うんですよね。僕らは、ビデオはあったけど劇場に行かないとダメで。でも昔の映像も全部YouTubeで今は観られるし、誰がどんな話したとかも全部研究できるんで、多分知識とかは今の世代のほうがすごく高いし技術も上がってると思うんですけど、こと闘いになると必死やなっていう。「自分ってこんな必死やったんや...」と思いましたもんね、テレビ見てて。 だから、加藤一二三先生の行動もすごい分かるし、伊津さんがめっちゃ魅力的に思える。「このキャリアで若手に負けたない」って。「もうあと勝手にやってください」って言うのはめっちゃ楽やと思うんすよね、恥ずかしいから負けんの。そういった意味では『バンオウ-盤王-』も、ベテラン勢が活躍してる4~5巻の展開が好きですね。 杉田 綿引さんも一番好きですもんね、伊津戦。 綿引 そうですね。伊津戦が一番自分的には思い入れのある対局とドラマなので、そこを面白いって言っていただけて嬉しいですね。伊津という人物は、自分が思い描く「最高にカッコいい年の取り方をした人物」という感じなので。ああいう風な人になれたらなみたいな、そんな願望とか込めて彼を描いてますね。 川島 カッコいいですよね。 杉田 20話くらいから、春夏冬さんの絵もかなり覚醒してますよね。 川島 27話のここがいいですね。「この最高の対局をふたりでつくっているんだ」。だから将棋って、僕も全然分かんないにしても確かに、「対局を作らないといけないんだな」って感じられたというかね。 一方的にリードしたり、実力差があってしまったら、美しい局面にならないんだっていうところ。「闘ってるんじゃなくて作ってる」っていうところがすごい、いい絵だし、いい表現だなと。 春夏冬 ありがとうございます。私も原作ネームを読んだとき、感動しました。綿引先生は本当にスゴいです。 綿引 将棋なので、どうしてもネームの絵面はかなり地味になりがちなんですけど、それでも、春夏冬さんが飽きないような派手な演出で表現してくれていて、ホントに助かってます。 杉田 綿引先生は伊津戦描き終わって、ちょっと燃え尽きかけてたんですよ。「連載、もうよくないすか?」みたいな(笑)。だから編集としては「まだまだだよ!」っていう話をして。 綿引 伊津戦からはすべてが最後の闘いのつもりで描いてるので。 川島 へー!でもその反動のように突然野球始めて(笑)。 一同 笑
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