【後編】麒麟・川島が漫画『バンオウ-盤王-』で気づく若手芸人への対抗心。原作・綿引智也&作画・春夏冬画楽×麒麟・川島明鼎談(『週プレNEWS』ロング版)
――作画をする上でのこだわりというのは、どんなところですか? 春夏冬 私の作画では、綿引先生がネームに記載されたメモを元に、物語の骨子の部分は揺るがないように描いたうえで、物語的なウソがないように、私にできる限り最良のやり方で、キャラクターの「穴埋め」や「深掘り」をしているつもりです。それは読者の方に気づかれないかもしれないし、それでも構わないと思いながら描いている部分で。 川島 ほうほう。どのあたりになりますか? 春夏冬 たとえば、竜王戦予選トーナメント初戦を描いた16話。追い込まれた町野四段の回想で、彼のお父さんが2コマだけ登場するんですが、その2コマの服装で「もしかしたら男手一つで町野を育ててくれたのかもしれない」っていう部分をちょっと垣間見せたり、町野とお父さんを同じ髪型にすることで、町野のお父さんに対する尊敬を表してみたり、全く説明はしていない部分なんですけど、ちょっとでも説得力を持たせられたらいいな...と。それから追いつめられた時に町野は左腕を触るクセがあるんですが、そこは回想シーンで彼の師匠が激励してくれた際に触れている場所であるとか。 川島 (ページを見て)ホンマや! 触ってますね。 春夏冬 私のできることはちょっとしたことなんですけど、そういう試みです。それでももちろん、綿引先生の意図と異なる部分があればフィードバックをいただいて修正するんですけど。ホントにありがたいことに、私の作画に持たせてもらえる自由度が高いので、できる限り人物像を深掘りしようと思ってます。そういうところがこだわりかもしれません。
★ストーリーの閃(ひらめ)きと緩急 川島 ストーリーが降りてきたっていう先生もいれば、もう、缶詰状態で粘って粘って最後まで出ない...っていう先生もいらっしゃる。綿引先生はどっちですか? 綿引 まぁ...粘ったことはないので。 一同 おー。 綿引 スミマセン。粘ったことはないというか...なんかもう出ない時は諦めるんで(笑)。 川島 違うことをやるんですか? 綿引 何もやらない...みたいな。 川島 浮かんだらネーム切られるのって早いほうですか? 綿引 いやぁ~早いと思うんですけど、そんなに頑張ってはないんですよね...。 杉田 「描き始めたら早い」というイメージですね。綿引先生は「自分ひとりで悩む」っていうよりは、とりあえず納得できるところまでできたら一旦こちらに投げてくれて、そこでちょっとまた打ち合わせをして直す...みたいな感じでやってますね。でも早い、特にコメディ回とかは早いです。 綿引 コメディ回はそうですね。将棋やってる時が一番苦しいなっていう感じですね。 川島 まぁ、そりゃそうですよね。バトル中というか、本筋はね...。 綿引 将棋ばっかり描いてると、それも苦しくなってくるので、だから、たまにこうギャグに寄りたいな...みたいな。ギャグ漫画がたまにシリアスやるじゃないですか。その逆パターンみたいな感じですね。 川島 お酒飲んでる時のチェイサー的な。時々こう、鈴木とかが盛り上がったりするところは、そういうタイミングだったりとかするんですか? 綿引 んー...鈴木はなんていうんですかね...。やっぱシリアスとコメディの緩急みたいなのは大事だと思うので、鈴木はそういう役目を担っている重要な人物だと思います。 川島 そうかぁ。 杉田 将棋パートはすごくちゃんと打ち合わせするんですけど、ギャグパートは「ギャグ描きまーす」って言われて、「じゃあ、待ってまーす」みたいな。で、まぁ上がってきて、「面白いっすね」って(笑)。あまり直しもなくOKみたいなことが多い感じですね。 川島 そういうシリアスとコメディの緩急が、読みやすさにもつながってると。 綿引 そうかもしれないですね。
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