【目指せトップレーサー(218)】登玉隼百
成長スピードに驚いた。昨年2月に当欄で取り上げた登玉隼百(25)=兵庫=はその後、2024年前期勝率(昨年5月~昨年10月)4・89、24年後期勝率(昨年11月~今年4月)5・77と2期連続で自己最高勝率を大きく更新。苦手意識を口にしていた地元尼崎で今年2月にデビュー初優出(6着)し、来月からはA2に初昇級を果たす。 「(尼崎は)こんな体感のときにレースにいっていいとか、調整がだんだんとわかってきました。それとスタートを含めてやっぱりたくさん走っていることの慣れは大きいと思います」 進化の原動力は何といっても決定力。取材した4月の尼崎「ささはら賞競走」は準優で敗退したが、11戦で5勝を挙げるなど、強烈なインパクトを残した。 「ターン中期から後期にかけてを意識して練習してきました。舟の返し方とかウイリーのさせ方ですね。思い描くターンがどうやったらできるか、調整もそれを意識してやっています」 節間2本のまくりはスリットで出し抜いたものでも、強烈に絞ったものでも、一撃仕様でねじ伏せたものでもない。ダッシュ乗りいいスタートからジワジワと左にかじを切りながら、最後はターン出口のモンキーでグイッと前に出て合わせてきたインの艇も仕留める。冷静な状況判断に加え、旋回技術の向上があってこその芸当。前期101走で1着を32本も量産した要因に納得させられた。 その一方で、大敗の多さは気になる。その尼崎でも5、6着が合計で1着と同じ5本。 「〝ピンロク〟の選手になっていますね。(1周)1マークを最後方で出てくることは少ないんですけど、道中の状況判断や走り方が悪いです」 25歳にとって課題は伸びシロそのもの。攻撃力に加え、堅実性-、〝言うは易く行うは難し〟だが、現在の充実ぶりからは期待したくなる。来期の目標に掲げた「A1になれたらいいですけど、意識としては優出の回数を増やしたい、そして、できれば優勝したい」もかなえられるだろう。 A2になればGⅡのあっせんも始まる。一線級相手に壁にぶつかるだろうが、ポジティブな性格からも必ず乗り越えられるはず。2年連続で尼崎フレッシュルーキーに選出された好素材が〝センプル〟の看板レーサーへの道を登っていく。(井置浩二)