フェラーリ、ル・マン制覇でWECタイトルへの望みつなぐ「ここがターニングポイント」
フェラーリは昨年に続き、今年もル・マン24時間レースで優勝。世界耐久選手権(WEC)のシーズン第4戦に設定されている伝統の1戦を制し、今季1勝目を挙げたことで年間タイトル獲得に向けて再び前進したとチームは考えている。 【動画】なんてこった! 総合優勝争ったトヨタをフェラーリが撃墜|2024年ル・マン24時間レース フェラーリがル・マンまでの3戦で獲得した表彰台は、50号車499Pのアレッサンドロ・ピエール・グイディ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンが第2戦スパでの3位のみ。 チャンピオンシップをリードするローレンス・ヴァンスール、アンドレ・ロッテラー、ケビン・エストレのポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ6号車963 LMDhと50号車フェラーリとの差は34ポイントという状況だった。 しかし配点が2倍のル・マンを制したことで、50号車フェラーリの3名はドライバーズランキング2番手に浮上。6号車ポルシェとの差を9ポイントに縮めた。 フェラーリのスポーツカーレース主任であるアントネッロ・コレッタは、ル・マン制覇をタイトル挑戦におけるターニングポイントだと表現した。 「正直なところ、イモラとスパで多くのポイントを失ってしまった。(ル・マンを含め)3勝できていたはずだった。残念なことに、今は1勝のみだ。しかし最も重要な1勝を挙げることができた」 「タイトル争いのターニングポイントにいるというのは当然で、我々にはタイトルを勝ち取るために全力を尽くすチャンスがある。最終的にはル・マン24時間レースと世界タイトルというのが、最大限の結果だ」 「我々はGTクラスで多くの世界タイトルを獲得してきた。プロトタイプでできない理由はない」 WECはル・マンを終えてアメリカ大陸へと移り、今季から久しぶりにシリーズカレンダーに戻ったサンパウロ戦、オースティン戦の2戦を迎える。そして日本の富士6時間、バーレーン8時間でシリーズは閉幕となる。 フェラーリのテクニカルディレクターであるフェルディナンド・カンニッツォは、タイトル獲得に向けてポジティブな見通しを語った。しかしシリーズ後半戦で499Pがどれほどの競争力を発揮するかどうかは分からないという。 「確かに我々は少し巻き返したし、おそらくタイトル獲得に向けた軌道に戻ったと思う」 「次のレースは難しい。この勝利を素早く飲み込み、ブラジルに集中する必要があるから難しいのだ」 「ブラジルまではとても近いし、休息が必要だ。そして全く異なる新しいレースに集中する必要がある。インテルラゴスは難しいコースだ」 「私が答えられることは、ル・マンやスパ、イモラで行なった仕事を繰り返す必要があるということだ」 「シミュレーションを行ない、それをレースでどう活かすかを理解する作業がある。今のところ、競争力があるかどうかは分からないが、もちろん、シーズン後半の全てのレースで懸命に働き、タイトルに“こんにちは”できるようにしたい」 「我々の目標は、常にタイトルを獲得してシーズンを締めくくることで、タイトルを持ち帰るため、懸命に努力する」 フェラーリは第2戦イモラで、ウエットコンディションで戦略ミスを2度犯し、トヨタに勝利を譲ってしまった。また第3戦スパでは、レース再スタート時に不利なポジションにいたことで勝利の可能性を失った。スパ戦の後にフェラーリはレース結果に抗議し、一度スチュワードに棄却されたが、この決定を不服として上訴している。 ル・マンでの勝利後、フェラーリはレース中の重要なピットストップタイミングで同じミスを侵さないよう、対策を行なったと明かした。 ル・マン本戦ではレース開始3時間目に最初の雨が襲来したが、フェラーリは陣営内で戦略を分けた。そして50号車のワークスマシンと83号車のサテライトマシンは、急速に乾き始めたコース上でステイアウトを選択することで、大きなリードを得た。 「イモラの後、メカニック、エンジニア、ドライバーと多くのミーティングを行なった」とコレッタは明かした。 「そして今、我々はとても上手く機能していることを証明できたと思う。レースでの選択は全て正しかったと思う」 「誤解もなく、ピットに関する判断にもミスはなかった。おそらくイモラのレースは、この24時間レースにとって大きな助けになったと思う」 「でもイタリアでの問題に対するチームの対応にはとても、とても満足している。正直に言って、(母国の)ファンの前で負けたのは私にとって大惨事だったからね」
Rachit Thukral