電気自動車普及も裏目?減少率全国一 東京のガソリンスタンド過疎地化問題
今般、自動車離れが進んでいると言われます。特に、可処分所得が少ない若年層は自動車にお金を費やすことができないため、自動車を購入するどころか自動車そのものへの関心が薄れています。自動車離れが進んだ結果、自動車を製造するメーカーや販売するディーラーなどの売上が減少することは間違いありません。ほかにも、自動車離れで大きな打撃を受けているのがガソリンスタンドです。
人口減少だけでなく……燃費向上、電気自動車普及もスタンド経営に影響
経済産業省は「ガソリンスタンドが自治体内に3か所以下」「人が居住する地域からガソリンスタンドが15キロメートル以上離れている」といった状態にある市町村をサービスステーション過疎地(SS過疎地)と定義しています。経産省によると、2016(平成28)年度末においてガソリンスタンドがひとつも存在しない市町村内は全国に11あります。さらに、3か所以下の市町村は288にのぼります。SS過疎地の大半は、人口減少が著しい地方都市や離島に偏在しています。 10年ほど前から、地方都市ではガソリンスタンドの廃業が相次ぐようになりました。地方都市において、自動車は日常生活に欠かせません。ガソリンスタンドが消失してしまえば、生活にも支障をきたします。資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課の担当者は、こう話します。 「ガソリンスタンドの廃業が相次いでいる背景には、いくつか理由があります。少子高齢化に伴い自動車に乗る人が減ったこと、自動車の燃費が著しく向上してガソリンの消費量が抑制傾向にあることなどです。最近はガソリンを使用しない電気自動車も普及していることが、ガソリンスタンド経営の厳しさに拍車をかけています」。
都市圏で進むSS過疎地化 自動車は生活必需品じゃない
“過疎”という言葉の響きから、SS過疎地問題は地方都市の問題として語られがちです。地方都市が置かれている状況は危機的ですが、人口が多く自動車もたくさん走っている東京都にとってもSS過疎地問題は対岸の火事ではありません。 「ライフスタイルの変化に伴い、都市圏では自動車は生活必需品ではなくなっています。特に、東京や大阪では鉄道がきめ細かく整備されているので、自動車を所有せずとも出かけることに不便ではなくなりました。そうした変化によって、自動車ユーザーが減り、結果としてガソリンスタンドの経営が厳しくなっているのです」。