<ソチ五輪>浅田真央 団体SPで転倒の理由と金メダルの可能性
■浅田とは対照的だったロシアのリプニツカヤ ロシアのリプニツカヤは、浅田とは対象的に存在感を示した。確実に決めた3回転ルッツ、3回転トゥーループのコンビネーションジャンプに加え、足が垂直に立つほどの、脅威の柔軟性を生かした高速のキャンドル・スピン。場内からスタンディングオベーションが起きるのも当然だった。浅田のライバルは、韓国のキム・ヨナとされていたが、そこに割って入ってくる、強力なライバルが出現した。 中庭さんは、「これまでリプニツカヤは、ルッツを飛ぶ際の踏み切りのエッジが、アウトではなくインサイドを使い、不正と判断されていました。我々は、それを『Eマーク』と呼んでいて減点となりますが、今回のコンビネーションジャンプでは、そこを修正していました。また以前は、年上選手に囲まれ、オドオドしているような部分がありましたが、欧州選手権あたりから、そういう表情は消え、自信をつけています。それとスピンです。回転が速く、GOE(出来栄え点)がつけやすい。浅田選手が、1点か2点のところを、彼女には、3点をつけているジャッジが目立ちました。個人でのメダル争いは、リプニツカとイタリアのコストナーを交えて、“4つ巴”になってきましたね」と見ている。 イタリアのコストナーも、団体のSPでは、ミスのない演技で浅田の得点を上回った。 「これが五輪だな、という不安が生まれてきた」と浅田は語っていたが、果たして、4年越しの夢をかなえる場所となる、女子シングルでの巻き返しは可能なのだろうか? ■ミスが出たことは浅田にとってプラス 中庭さんは、こういう考えを抱いている。 「ここでミスが出たことは良かったと思います。トリプルアクセルには失敗しましたが、それを除けば、丁寧な演技は、芸術作品として、とても完成度の高いものでした。どの選手も“ミスをしたら勝てない”とプレッシャーの中で演技をすることになります。その中で、いかに集中力を保てるのか。浅田選手には、その経験と気持ちの強さがあります」