23区なのに無人駅!?「大師前駅」はなぜ駅員不在なの? 無人駅となった理由や「不正乗車」されないのか解説
国土交通省によると、日本の無人駅の数は2001年からの20年で1割も増えており、駅全体の5割に近づいており、2020年3月の時点で、日本にある9465駅中4564駅が無人駅となっています。 無人駅が増える中、東京23区では唯一の無人駅として「大師前駅」があります。本記事では、23区唯一の無人駅である「大師前駅」について紹介します。 ▼新幹線で1人で「2席分」の購入はNGなの? 規則を確認
大師前駅とは
東京23区唯一の無人駅である「大師前駅」は、足立区の東武大師線にあります。東武大師線が開業したのは1931年です。この時期は東武鉄道線、西武鉄道線、東急電鉄、阪急電鉄などの施設も次々と敷設された鉄道の黄金期でした。 東武大師線は、西板線という名前で西新井駅と大師前駅の総路線距離1.1kmとして誕生し、1968年の大師前駅の移転により現在の総路線距離は1km、乗車時間はたった2分の路線です。 2両編成の列車で、10分間隔で運行しています。東武鉄道の旅客駅は205駅であり、都内29駅の中でも唯一無人駅なのが東武大師線の大師前駅です。 ◆乗降人員 「大師前駅」の乗降人員は、2022年度で1日平均1万1944人です。有人駅である東上線「森林公園駅」が1万1719人、伊勢崎線の「羽生駅」が1万1399人であるため、この2駅よりも大師前駅行きの乗降人員のほうが多いと分かります。 また「森林公園駅」は10車両編成の車両が出発しており、「羽生駅」は秩父鉄道との乗換駅です。「羽生駅」は特急列車の一部も停車する主要駅のため、東武大師線の大師前駅は無人駅ながら利用者数は極めて少ないとはいえません。 ◆無人駅の理由 「大師前駅」が無人駅である理由には、路線計画の破綻が関係しています。東武大師線は西新井駅、大師前駅、江北駅、新鹿島駅、足立新田駅、赤羽駅、小豆沢駅、志村3丁目駅、若木西代駅、上板橋駅の10路線で総距離11.6kmでの工事が計画されていました。 しかし、計画が組まれた翌年に関東大震災が発生し、計画は少しずつ変更せざるを得なくなりました。復興計画と土地売買が重なったことや路線予定地の市街地化などによって、設計費が予定よりもはるかに高額になったため、計画は白紙になってしまったのです。 なお、当初は西新井駅の「西」と上板橋駅の「板」をとって「西板線」と命名されていました。運行が開始されてから16年間は「西板線」として運行し続けていましたが、1947年に「東武大師線」に改名されました。16年も西板線を名乗っていることから、東武電鉄は西板線の完成を目指していたのでしょう。