トヨタ、認証不正をばねに成長力底上げ 中間期苦戦も構造改革投資1300億円上積み
トヨタ自動車は6日、車の量産に必要な「型式認証」の不正問題を受けて取り組んでいる構造改革の関連投資を計画比1300億円増の8300億円に拡大すると発表した。同日発表した2024年9月中間連結決算は、認証不正やリコールに伴う生産停止で販売が落ち込み、利益率も悪化した。ただ、構造改革による生産・開発の効率化の成果が、持続的な競争力の強化につながると判断して投資を上積みする。 ■業務のやり方抜本見直し 「生産計画を出して、それを着実に作っていく責務があると、つくづく痛感した」。決算会見で宮崎洋一副社長は認証不正などの影響についてこう述べた。 トヨタは一連の認証不正に伴い佐藤恒治社長が「足場固め」を宣言。業務のやり方を抜本的に見直し、取引先を含めた現場の余力づくりと品質向上を図る構造改革を進めている。 この活動を優先し、品質問題で落ち込んだ生産を無理に挽回しなかったこともあり、中間期の国内連結販売台数は前年同期比12・4%減の93万9千台と低迷した。アイシンなどトヨタ系の主要部品メーカー5社の中間連結決算の純利益も減益になるなど、取引先にも影響が広がった。 ハイブリッド車(HV)の販売が好調な収益基盤の北米事業も、リコールに伴う一部工場の生産停止などで、地域営業利益が前年同期比で2344億円減少し、営業利益率は4・2%から1・3%に悪化した。 ■厳しい決算とは思わず しかし、トヨタは「厳しい決算だとは思ってない」(山本正裕経理本部長)と、中間期の業績を前向きに評価する。全体の営業利益は3・7%減の2兆4642億円と減益だが、2兆円の大台は確保。生産停止による1400億円の減益影響に対して、原価改善や経費低減、営業努力などで6200億円の営業利益の押し上げ効果を積み上げ、収益体質の強化に手応えを得ているためだとみられる。 現場の声を経営陣が直接吸い上げて課題を解消する構造改革でも、「エリア35」と呼ぶ開発・生産・販売が一体となった改善活動で「年間8万台の生産可能台数とフルモデルチェンジ3回分に相当する開発工数を捻出することができた」(宮崎氏)という。 ■現場での課題把握が進む