埋もれた世界のニュースとは? あまり報じられなかった重要なトピックを厳選…専門家に聞く
2024年も世界で多くの出来事があったが、重要ニュースながら報道の量が少なかったものもある。大阪大学のメディア研究機関は独自の目線で取りこぼされたニュースを厳選し、重大さなどをもとにランキング化。一部を紹介しつつ、ホーキンス教授にねらいを聞いた。(国際部 小坂 未那)
■“埋もれた”世界のニュース
2024年も世界で多くの出来事があった。パレスチナやウクライナでの紛争や、アメリカ大統領選のように、多くのメディアが毎日のように取り上げたニュースもある。しかし一方で、主要メディアがあまり取り上げなかったにもかかわらず、実は非常に重要な動きだった出来事“埋もれた大ニュース”も数多くあるとの指摘がある。 大阪大学のメディア研究機関「グローバル・ニュース・ビュー(Global News View:GNV)」は19日、こうした出来事のうち、重要性が高いと思われるものを独自の基準で評価し、「潜んだ世界の10大ニュース」として発表した。3位までを紹介しつつ、GNV編集長のヴァージル・ホーキンス教授にそのねらいを聞く。
■1位 少女の8人に1人が性的暴行の被害者:国連発表
国連児童基金(UNICEF)は今年10月に報告書を発表し、世界の18歳未満の少女のうち3億7000人以上が、過去にレイプや性暴力の被害にあっていることを明らかにした。これは約8人に1人の割合だという。特に紛争や政情不安のある地域では4人に1人と、より深刻だ。 また、インターネット上の言葉など、直接的でない性暴力を含めると、5人に1人にのぼるとしている。こういったオンラインでの性被害は、生成AIによる偽画像の拡散や、仮想空間=メタバース上のレイプといった形でも起こっていることがNNNの取材でも分かっている。
■2位 44億人が安全な水へのアクセスなし 推定の2倍
世界人口の半数以上にあたる約44億人が、安全な家庭用飲料水を手に入れられない状況にあることが、有力科学誌・サイエンスの研究で明らかになった。研究は今年8月に同誌に掲載された。44億人という数字は、世界保健機関(WHO)などが推定していた約20億人の2倍以上にあたる。過小評価されていた理由として、調査方法やデータが完全でなかったことなどが指摘されている。 UNICEFによれば、安全でない水=汚染水は、アフリカなどで毎日1000人以上の幼児の死亡につながっている。今年は異常気象で相次いだ災害の被災地や、パレスチナ自治区ガザ地区などの紛争地で、安全な飲料水が行き届かない事態や懸念も目立った。