「老後4000万円問題」に抱く強烈な違和感…資金運用で国が提案しない「おすすめ商品」の正体
日本の相続税はゼロにすべし
老後の生活費を年金で賄える程度にしている人であれば、ある程度の生活をすることができるだろう。 番組では、老後の安心のためには、予想通りNISAの話になった。金融機関関係者である以上、仕方ないだろう。筆者はしばしば金融機関関係者の阿漕な話をぶち壊すことを「得意技」としているが、はじめての番組参加でもあり、しかもリモートだったので、NISAへの批判は筆者としてはやや躊躇した。 そこで、政府への提言というところで、筆者は「基本的には「ピンピンコロリ」がベスト! 国の対応としては相続税をゼロにすべし!」とした。 元気な人は老後も仕事をし続けて、働けなくなったらコロリと逝くのがいい。ただし、そうできない人もいる。そして老後、家族で面倒を見てもらうことも加味すれば、相続税がゼロがいいという趣旨だ。 日本の相続税について、財務省の資料「主要国における相続税負担率の比較(配偶者+子2人)」では、ほぼゼロのアメリカや負担利率の低いドイツより高いものの、イギリスやフランスと比較すればそうでもないと主張している。だが、注書きなどを読みこめば、やはり日本は高いことがわかる。 先進国の中でも、カナダ、イタリア、スイス、オーストラリア、スウェーデンなどの国では相続税ゼロといった。
資産運用するのに「ベスト」な商品
相続税は、所得税で所得格差を少なくするための補完であるが、今はマイナンバーでしっかりした所得補足が可能なので、所得格差に所得税に委ねて相続税ゼロとすべきというロジックを紹介した。 番組では、あまりに露骨だったので言わなかったが、筆者はNISAで税優遇をしているのは、財政当局はそこで肥えさせて相続税で持っていくのではないかと邪推している。こうした邪推をせざるをえないのも、ひとえに相続税が高いからだ。 番組では、もし資産運用するのであればという前提で、物価連動債がいいので、個人でも早く入手できるよう国は制度を変えるべきだと提言した。 筆者は物価連動債と深いつながりがある。筆者が2001年に日本に帰国後、当時、経済財政担当相であった竹中平蔵氏に、インフレ目標の実施に必要な物価連動債の導入を進言し、同年の年末に出た「構造改革と経済財政の中期展望」で、「物価動向を適切に把握する等の観点から、将来の物価動向を市場がどう織り込んでいるかを把握することに寄与するとされ、米英等で導入されている物価連動債等を含む新たな方法や現行の物価統計の在り方、分析手法などについて幅広く検討を行うこととする」と書いた。 当初、導入を反対していた財務省であるが、2004年3月にようやく発行にこぎ着けた。2003年度国債発行計画では「投資家の多様なニーズに応えるとともに、市場の期待インフレ率の把握にも寄与する」とされている。 導入時から、個人には販売しないというのが財務省の方針だったが、麻生太郎財務相は2015年1月から物価連動債を個人向けにも解禁すると言った。 しかし、現実には、個人が直接購入することはまず不可能で、物価連動債を組み込んだ証券投資信託を購入せざるを得ない。