【絶対に逃げられない】日本でも年間約30件が発生…船を消し飛ばす「海上竜巻」の戦慄写真
豪華ヨットを消し飛ばす
闇夜に光る稲妻と並んで発生した海上の巨大な渦巻(うずま)き、雲間から伸びる不気味な白い帯――。 【画像】絶対に逃げられない… 世界で発生!海上竜巻「戦慄写真」 掲載した写真は、世界で発生した海上に突然現れる竜巻の数々だ。強烈な渦の勢いで海に浮かぶ船を消し飛ばす。イタリア南部シチリア島では、8月に豪華ヨットを直撃して7人が犠牲になった。 「沈没したのは、全長56mの英国船籍のスーパーヨットです。早朝、港から約1㎞離れた海上に停泊していたところを激しい雷雨と竜巻に襲われたと思われます。高さ72mのマストはポキリと折れ、乗船していた幼児を含む22人が暗い海に投げ出されました。発見された遺体の中には、『英国のビル・ゲイツ』と呼ばれる実業家マイク・リンチ氏も含まれていました」(大手メディアヨーロッパ駐在記者) 構造上沈みづらいとされるヨットでさえ、簡単に沈没させる海上竜巻。三重大学気象・気候ダイナミクス研究室の立花義裕教授がメカニズムを解説する。 「海面温度が高いと上昇気流が生じます。その時、上空に冷たい低気圧があれば、上った空気に回転が起き竜巻が発生するキッカケになる。台風の中心付近と同じくらいの強風が吹くうえ、水面に強い渦と水しぶきをともなうのが特徴です」 ◆「陸上にいるからといって油断は禁物」 日本でもたびたび海上竜巻は確認されている。気象庁によると竜巻は年間平均で53件あり、このうち約30件が海上だ。大気が不安定になりやすい9月がもっとも多く、’15年9月には長崎県対馬沖で海上竜巻に巻き込まれ漁船6隻が沈没。乗組員5人が死亡する事故が起きている。 今年3月にも沖縄北部の本部(もとぶ)半島と伊江島の海峡で竜巻が発生。目撃した『フェリーぐすく』の玉城勝彦船長が語る。 「午前11時過ぎに伊江港から『凄いことになっている』との連絡があり、船から8㎞ほど先の海上を巨大な黒い塊状の竜巻が西から東へ移動しているのを確認しました。34年の船員経験で、あんなに大きい竜巻を見たのは初めて。逃げ場のない海の上で、小さな漁船などが巻き込まれたらひとたまりもないでしょう」 前出の立花氏は、温暖化の影響から日本での発生リスクは増えていると話す。 「日本周辺の海水温は例年より5℃ほど高い状態が続いているため、上空に強い寒気が訪れればいつどこで海上竜巻が起きてもおかしくありません。竜巻は海から陸へ移動する可能性もあり、陸上にいるからといって油断は禁物です」 台風シーズンの9月、天候が悪い時に海へ出航するのは避けるべきだ。 『FRIDAY』2024年9月27日・10月4日合併号より 取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)
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