SGX-E。インジェクション時代の草創期に、最も豪華なグレードとして君臨したモデル
旧車は「ナマモノ」だ。欲しいクルマに出合ったとき即断しなければ、次のチャンスがいつ来るか分からない。特に生産台数の少なかったクルマはまさにそれで、「見つけたとき」が「買いどき」なのだ。FR最後のサニークーペも、そんな1台。いま買い逃したら、もうチャンスはないかも!? 【画像22枚】キャブレターに換わって搭載された燃料噴射装置。最適な混合気がエンジンに送られるため、常に理想の燃焼状態におかれるとうたわれた。A14E型エンジンは、1397㏄直列4気筒OHVユニットから、92ps/11.7㎏-mを発揮。シングルキャブ搭載のA14型の80ps/11.5㎏-mと比べ、12psものパワーアップを誇った。ヘッドカバー、エアクリーナーボックスのカラーリングも当時のもの。純正部品の欠品はなし 【1978年 ダットサン サニークーペ1400 SGX-E】 昭和大衆車の王座をかけて争ったライバルの第2ラウンドは、真っ向勝負となった、その時代。 話をサニーに戻そう。B10クーペ以降も、サニーは伝統的にファストバックスタイルのクーペをラインナップに加えてきた。GXの登場に沸いた110サニーしかり、ロケットサニーの愛称で親しまれた210サニーしかりだ。 そして77年にモデルチェンジを受けて、310へと進化したサニーにもこの遺伝子は当然のごとく受け継がれる。210サニーの時期にA型エンジンは1171ccのA12型と、1397ccのA14型の2機種に拡大されたが、このラインナップは310サニーにおいても同様だった。 ただ、排ガス規制の波が押し寄せてきていた時代と重なったこともあり、210の後期、211の時代に存在したA14型+SUツインキャブの組み合わせは消滅。代わりに脚光を浴びたのがEGI(エレクトリックガソリンインジェクション)搭載のモデルたちだった。 これらは車名の最後に「E」が付くことで見分けることができる。今回紹介する310クーペの正式車名は「SGX‐E」。まさにインジェクション時代の草創期、最も速く、最も豪華なグレードとして君臨したモデルなのだ。 1978年式 ダットサンサニークーペ1400SGX-E(KHB310) ●全長3995mm ●全幅1595mm ●全高1340mm ●ホイールベース2340mm ●トレッド前/後1330/1300mm ●最低地上高165mm ●室内長1645mm ●室内幅1345mm ●室内高1095mm ●車両重量875kg ●乗車定員5名 ●登坂能力tanθ0.48 ●最小回転半径4.5m ●エンジン型式A14E型 ●エンジン種類水冷直列4気筒OHV ●総排気量1397cc ●ボア×ストローク76.0×77.0mm ●圧縮比9.0:1 ●最高出力92ps/6400rpm ●最大トルク11.7㎏-m/3600rpm ●変速比1速3.513/2速2.170/3速1.378/4速1.000/5速0.846/後退3.464 ●最終減速比3.889 ●燃料タンク容量50L ●ステアリング型式リサーキュレーティングボール(ギヤ比16.4) ●サスペンション前/後ストラット・コイル/4リンクコイル車軸式 ●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング ●タイヤ前後とも165/70HR13 ●発売当時価格113.4万円 初出:ノスタルジックヒーロー2019年6月号 Vol.193 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部