妖怪? モデューロの実効空力は「ぬりかべ」から生まれていた!いったいどんな効果が?【Modulo 30th Anniversary EXPO】
ホンダの純正アクセサリーを担う「ホンダアクセス」の誇る走りのブランド『Modulo(モデューロ)』が誕生したのは1994年。つまり2024年はモデューロ30周年のアニバーサリーイヤーとなる。『Modulo 30th Anniversary EXPO』と名付けられたメディア向けイベントでは、モデューロを象徴するテクノロジーである【実効空力】の開発を疑似体験するプログラムが用意されていた。 【写真を見る】バンパーに「ぬりかべ」を付けるのが空力開発のスタート地点?本文中に画像が表示されない場合はこちらをクリック REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)/HondaAccess
最悪な空力状態を情報共有する開発手法
あなたは「Modulo(モデューロ)」というブランドを知っているだろうか。最近でいえば、軽ミッドシップスポーツカーS660の実質的なファイナルエディションとして「S660 Modulo X version Z」というコンプリートカーが発売されたときに、その響きを耳にしたというケースがあるかもしれない。 あらためて説明すれば、モデューロというのはホンダの純正アクセサリーを開発しているホンダアクセスのブランドだ。もともとは1994年の純正アルミホイールに使われた名前だが、同時期にエアロパーツの開発もはじまり、また同ブランドのサスペンションキットも開発されている。純正アクセサリーの開発において得た知見を込めたパフォーマンスパーツに使われているブランド名が「Modulo」だ。 そんなモデューロ・ブランドの集大成といえるのが、コンプリートカー「Modulo X」である。 パワートレインには手を入れることなく、4輪接地感を高めてこそ気持ちよく走れる、というのがモデューロの目指すところであり、そのために空力とフットワークのリファインを施したコンプリートカーが「Modulo X」というわけだ。 とくに『実効空力』というキーワードで知られるエアロパーツはモデューロの象徴的アイテムとなっている。 モデューロ・ブランドの30周年を記念して、メディア向けに開催された『Modulo 30th Anniversary EXPO』では、実効空力の始点となる「ぬりかべバンパー」を装着したS660が展示されていた。見ての通り、フロントバンパーに板を張り付け、空気抵抗の塊のようにしたものだ。これは、モデューロの空力開発においては、常にスタートになるという。 ぬりかべバンパーの目的は、そのクルマにおける最悪の空力状態を体感すること。実効空力は数値だけでなく感性で鍛えられることでも知られている。そのためには開発ドライバー以外のスタッフ(デザイナーや設計者)も試作車をテストドライブして効果を実感する必要がある。そこで、全員の共通認識としてのスタートとして「ぬりかべバンパー」の試乗から始めるのだという。