妖怪? モデューロの実効空力は「ぬりかべ」から生まれていた!いったいどんな効果が?【Modulo 30th Anniversary EXPO】
Modulo Xは「もっと速度を出したくなる」空力性能だった
今回のイベントでは水を撒いた定常円旋回路を用意、<ぬりかべバンパー/標準バンパー/Modulo Xバンパー>を装着したS660を試乗することでホンダアクセスの空力開発を疑似体験できるというプログラムが用意されていた。 基本的には1速アクセル全開といったシチュエーションで走行するというコース設定だった上に、S660はトラクション性能が高くリヤが流れ出すようなこともなかったゆえに、ぬりかべバンパー装着状態ではただただ空気抵抗が大きいという印象しかなかった。 しかし、標準バンパーに換えるとラインの自由度が増したのを実感。ぬりかべバンパーでは成り行き的に走るしかなかったが、定常円を構成するパイロンまでの距離を調整したくなるコントロール性を感じることができた。低速でもフロントバンパーによる空力性能は重要だと確認できた。 驚いたのは、S660 Modulo Xに乗り換えたときだ。違いはフロントバンパーだけのはずだが、明らかに旋回スピードが増しているように感じる。パイロンとの距離感も自由自在で、それまでの試乗では1速固定だったが、Modulo Xバンパー装着車では2速にシフトアップしたくなったほど。すなわち速度を出すほどに安定していく感覚もあった。 なるほど「実効空力」は、1速で走るようなスピード領域から体感できることが、あらためて確認できた試乗だった。
のこぎり刃形状の「実効空力デバイス」も生まれている
ホンダアクセスの実効空力における近年のトピックスとして知られているのが、三角形を並べたような「のこぎり刃(シェブロン)」形状の発見だ。実効空力デバイスと呼ばれるシェブロンはボディ後端における空気の渦を適正化するというもの。シビックタイプRの純正アクセサリーとして用意されていたカーボン製リヤウイングに採用されるなどしているので、目にした人も少なくないだろう。 今回の30th Anniversary EXPOでは、同じく実効空力デバイスを採用したテールゲートスポイラーほかプロトタイプのエアロパーツをまとったコンセプトカー「シビックe:HEVスポーツアクセサリーコンセプト」も展示されていた。 2023年の東京オートサロンにて初披露されたコンセプトカーだが、市販を目指して各部のリファインを進めているという。 シビックといえば、2024年中に新グレード”RS”を設定するなどの改良がウワサされているが、そのタイミングでステップアップした”実効空力”を味わえる純正アクセサリーがラインナップされることを期待したい。
山本 晋也