ビットコインに新たな援軍か:トランプ氏が暗号資産支援を選挙公約に掲げる
11月までは大統領選挙を睨んで動くか
しかし、2019年にトランプ氏は、ビットコインとその他の暗号資産について、金銭ではなく価値が不安定で、規制がなければ麻薬取引など違法活動に利用される恐れがある、と否定的な見方を示していた。また2021年には、「ビットコインは詐欺だ」と述べ、特に米ドルと競争しなければならない点が、自身が嫌う理由だとしていた。 そんなトランプ氏が突然、暗号資産の信奉者に変わったのは、大統領選挙に有利になるという読みがあったからだ。暗号資産を支持することは、若者の評価を高めることにつながるだろう。さらに、暗号資産業界から選挙資金を集める狙いもある。トランプ氏はこれまでに、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産で400万ドル(約6億1500万円)以上の大統領選支援金を受け取ったという。 このように、選挙戦略の色彩が強いトランプ氏の暗号資産支持ではあるが、暗号資産の価格を動かすには十分な影響力を持つだろう。11月の大統領選挙に向けて、ビットコインなど暗号資産の価格は、選挙の見通しを受けて日々大きく変動する相場の色彩を強めるだろう。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英