トヨタの新型「クラウンセダン」は想像以上にイイ! 試乗して分かった感動ポイントとは?
満を持して登場したトヨタの新型クラウンセダンは、往年のファンも納得の出来栄えだった!? モータージャーナリストの原アキラがHEVとFCEVの2モデルに試乗。リポートをお届けする。 【写真】新型「クラウンセダン」の詳細を見る!
新型クラウンが目指す“ニューフォーマルセダン”
4つのラインアップを展開したことで話題の新型「クラウン」シリーズ。その第3弾となるセダンは、ボディーサイズが全長5030mm、全幅1890mm、全高1475mmで、ホイールベースは3000mm。横に立ってみると、その大きさと長さに圧倒されるほどだ。 フロントのハンマーヘッドに組み合わされたグリルは大型台形の縦基調のもので、近づくと日本の伝統工芸を感じさせるような精緻なディティールの意匠が施されているのがわかる。この顔、トヨタのフラッグシップらしいなかなかの存在感を発揮している。 サイドはウエストラインが一直線にリア後端まで伸びた6ライト(明かり窓が左右3つずつで計6つあるスタイルのこと)のクーペシルエットで、「似ている」とされるFCVの「ミライ」よりも水平度が高いし、全長で55mm、ホイールベースで80mmも長いのだ。 ヘッドランプモールをはじめ、ロアグリルモール、ベルトモール、フェンダーガーニッシュなどに漆黒メッキ加飾を採用し、渦巻き型の20インチアルミホイールにもブラックスパッタリング塗装を施すことで、これまでの王道とされていたフォーマル感とは異なった精悍なブラックパッケージのボディとなっていて、トヨタが“ニューフォーマルセダン”と呼ぶ所以はこの辺りにある。 また、セダンのスタイルがほかと大きく異なるのが、駆動方式にFR(フロントエンジン・リアドライブ)を採用したことで、それは長いボンネットだったり、フロントのホイールアーチからドア前端までの距離が長くなっていたりするところに顕著に現れている。他がすべて4WDを採用したのに対して、「クラウン=FR」の伝統を引き継いだのがこのセダンというわけだ。 FCEVのシステム自体は「ミライ」と同じもので、3本の高圧水素タンクとそれを燃料に発電するFuel Cell(燃料電池)を搭載し、最高出力134kW(182PS)/6,940rpm、最大トルク300Nm/0~3,267rpmを発生する永久磁石式同期型モーターで駆動する、というもの。 当然走りはEVそのもので、静かで滑らかだ。車重2トンのボディに対して184PSのモーターは非力のように思えるが、ゼロ発進時から最大トルクが発生するので、加速力には全く不満がないのだ。そして動き出してしまえば、全長5mオーバーの巨体を駆っているという感覚は薄れ、ドライバーとボディが一体になった走りが楽しめる。 1回あたりの水素充填にかかる時間はわずか3分で、航続距離は約820kmを実現しているので、その環境さえ許せば選択の価値大のモデルだ。