大阪・交通科学博物館閉館まで1週間、別れを惜しむ人々でにぎわう
列車を安全に走らせる技術の解説が学べる
大阪市港区のJR大阪環状線弁天町駅高架下にある「交通科学博物館」(交博)。関西の鉄道ファンに愛されてきたこの博物館が、4月6日をもって閉館することになりました。閉館まであと1週間、別れを惜しむ人々で賑わう同館の様子をお伝えします。 交博は、大阪環状線の開通記念事業として1962(昭和37)年1月にオープン。当時、交通に特化した博物館は同じく国鉄が開設した東京の交通博物館だけでした。当初は「交通科学館」という名称で、戦前に開設された交通博物館が交通の「歴史」に重点を置いていたのに対し、交博は「技術」や「未来」をキーワードに構成されていました。そのため、リニアモーターカー「マグレブ」の実験車両や信号装置、変電装置などが展示され、またリニアモーターカーの仕組みや、信号や列車制御装置といった列車を安全に走らせる技術の解説が、実物はもちろん模型や映像で学べるようになっています。 交通科学博物館 「閉館記念グッズ」を販売
親子三代でのリピーターも
展示物の中には、開設当初から展示され続けているものも多くあります。101系や151系のモックアップもその一つ。筆者も30年以上前にここを訪れ、この101系でドアや台車が動く様子を実際に体験したことを鮮烈に覚えています。リピーターも多いそうで、学芸員の遠山由希子さんも「以前に来られたことのあるお客様から『ここにあったあの展示物、どこ行ったん?』と聞かれることも多いです」とのこと。館長の兵東さんによると、年間30万人前後の来場者のうちおよそ6割がリピーターだそうです。ちなみにこの30万人という数字は、全国におよそ5,000館ある博物館の平均年間入場者数(約5万人)のざっと6倍。しかも全国的に入場者数が減っている中で交博はこの数字を維持し続けており、閉館を控えた今月8日には累計来場者数1,800万人を突破するなど、根強いファンに支えられているのです。
「義経号」や0系新幹線の第1号車も
その他の展示物もご紹介しましょう。兵東館長のイチオシは、7100形蒸気機関車「義経号」。アメリカから輸入されたこのSLは、前面の大型排障器やダイヤモンド型の煙突など、まるで西部劇に出てきそうな古典スタイルが特徴です。1990年に開催された「国際花と緑の博覧会」では会場内を走行し、その後も稼働可能な状態で、ガラス張りの専用車庫で大切に保管されています。後述する京都鉄道博物館では、再び構内運転が行われる計画もあり、今後が楽しみな車両です。 続いてのおすすめは、なんといっても0系新幹線。開設当初は実物大のモックアップが展示されていたのですが、実車の引退に際して第1号編成のうち4両が搬入されました。「新幹線の運転台」は今でも子供たちに大人気で、この日も多くの子供たちが目を輝かせながらハンドルを握っていました。