【虎に翼】昨年2月に伊藤沙莉は“予言”していた まもなく最終回で「寅子ロス」の声
「寅子」の泣き笑いの表情
法廷の場面が多くなるにしたがい、伊藤沙莉が演じる“判事・佐田寅子”の「表情」も見どころになっていった。 原爆訴訟をめぐって、裁判官である寅子は、ほとんど自分の意見や感想を語らない。法廷でも、証言を聞きながら相手を見つめる場面が多くなった。無言の芝居でも、先に触れた会見での「強さも弱さも含め、人間らしくその方を表現できたらいいな」という言葉を実現できていたのではないだろうか。 原爆訴訟の前後で、寅子自身も更年期障害、義母の認知症の進行、そして再婚先の家族との軋轢などに見舞われたのは先述したとおり。その「弱さ」「人間味」も、伊藤は見事に演じている。
これからの見どころ
人生の酸いも甘いもかみ分けた日本初の女性裁判官となった寅子。きれいごとだけでは済まないのが人生というものだ。今後は、最高裁長官に就任する桂場等一郎(松山ケンイチ)の存在が鍵を握りそうだ。 これまでは、法律の原則に厳格な一方で、甘いものには目がない「甘党ぶり」を見せてきた桂場。ただ、実際にモデルとなった人物は、毀誉褒貶が激しいだけに、老齢期を迎えた寅子との関係をどのように描くのかは興味深い。可能ならば桂場の「弱さ」を含めた人間味を描いてもらいたい。 水島宏明/ジャーナリスト・上智大学文学部新聞学科教授 デイリー新潮編集部
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