マルコメ、ハウス、UCC…なぜエナジードリンクに変わり種参入が相次ぐのか?
「エナジードリンク」と呼ばれる清涼飲料市場に参入する会社が、この数か月に相次いでいる。みそで有名なマルコメ(長野市)、カレーで知られるハウス食品グループ、さらにはコーヒーのUCC上島珈琲(神戸市)などだ。エナジードリンクはここ数年で人気が高まっているといわれる。それにしても、業種を超えた参入が相次ぐほど活況を呈しているのは、なぜなのだろうか?
■みそ製造のマルコメが参入した背景 「マルコメマルコメ…」。ぼうず頭の男の子(マルコメ君)のテレビCMは、日本人の多くが知っているだろう。創業1854年、160年の歴史と伝統を誇る、みその製造販売会社。そのマルコメが今年3月、初めて缶飲料の発売を発表し、関係者を驚かせた。それが「糀エナジードリンク・ハッコ」(250ml入り、オープン価格)だ。同社の担当者は「エナジードリンク参入に『なんで?』という反応は、確かに多かったですね」と苦笑する。だが、それなりの背景はあった。同社によると、日本人の食事の洋食化が進む中、みそはここ40年で生産・消費が40%も落ちている。こうした中、みそ以外の新しい商品開発に迫られていた。 そこで、人気の高まっているエナジードリンクに着目。また、健康志向で発酵食品への注目も高まっており、みその製造で培った同社の麹ノウハウを新製品につぎ込むことにした。ターゲットは、20~30代の働く女性。微炭酸で塩麹や食物繊維を配合し、チョウやハートをあしらったかわいらしいデザインの飲み物に仕上がった。同社は「仕事をがんばる女性の力になってくれれば」と期待をかける。 ■栄養ドリンクとエナジードリンクの違い ただ、エナジードリンクは、あくまで「清涼飲料水」。「ファイト一発!」のリポビタンD(大正製薬)などの栄養ドリンクと混同されやすいが、これらは薬事法の範ちゅうに属する「指定医薬部外品」。このため、両者は成分もはっきり異なる。肝臓の疲れに効果があるタウリンなどは、日本ではエナジードリンクに使用できない。また「滋養強壮」「栄養補給」などといった効能の表示も、薬事法のルール上できない決まりだ。その代わり、エナジードリンクは栄養ドリンクには使用できない炭酸を使用できるほか、覚醒効果のあるカフェインを多めに含ませる。こうして「スッキリした」「元気になった」感覚を提供する。 そうしたエナジードリンクが、多くのビジネスパーソンらを中心とした人々の心を、急速に捉えた。サントリー食品インターナショナルの資料によると、エナジードリンク市場規模は2009年に31億円だったが、2011年には109億円、2013年には318億円に。そして2014年には400億円の市場になる見通しだ。わずか5年で10倍以上に成長していることになる。