マルコメ、ハウス、UCC…なぜエナジードリンクに変わり種参入が相次ぐのか?
人気の秘密について、エナジードリンク評論家の福田慎一郎さんは「栄養ドリンクはおっさんくさく、若者は飲みづらかった。エナジードリンクは芸能人らも愛好し、『おしゃれな飲み物』というイメージで広まった」と指摘する。少子化で人口が増えず、国内のほとんどの飲食料品の市場が頭打ちになっている中、これほど急激に市場が拡大している分野は滅多にない。新しいジャンルの市場だけに乱戦模様で、各社とも「今からでも上を狙える」とにらみ、参入に踏み切っているようだ。 ■30種類以上 ハウス食品、UCCも同市場に参入 「バーモントカレー」で知られるハウス食品グループは3月、傘下のハウスウェルネスフーズ(兵庫県伊丹市)から、同社初のエナジードリンク「SAMURIDE ENERGY DRINK」(サムライド エナジードリンク)の販売を開始。250ml入りで価格は税抜き190円。レッドブルやモンスターエナジーといった欧米系のエナジードリンクに対抗するため、「日本」を前面に押し出し、市場シェアの獲得を目指す。 また、コーヒーでおなじみのUCC上島珈琲(神戸市)もエナジードリンクに5月からに参入。「UCC FULL THROTTLE(フル スロットル)」(190ml、税抜き121円)を発売している。コンセプトは“アタマ、醒める”。コーヒーに炭酸を加え、さらにカフェインを従来の2倍にした。こうした変わり種の参入は、昨年以前から始まっており、カルピスやスターバックスなども、エナジードリンク製品を投入している。現在、国内エナジードリンクは約30種類に上っており、各社が激しくしのぎを削る。 ■コーヒーを上回るカフェインを含むエナジードリンク 加熱するエナジードリンク業界。ただ、消費者は注意も必要だ。多くの商品でコーヒーを上回る量のカフェインを始め、多様な成分が含まれる。日本より先にエナジードリンクが普及したアメリカでは、飲み過ぎで健康を害する事例の報告が相次いでいるという。特に、若い人が多量のカフェインを摂取することは危険だとして、エナジードリンクの販売を規制しようする動きもあるようだ。 ただ、福田さんは「アメリカのエナジードリンクはタウリンが認められている点など、日本のものと成分が違う。なので、一概に日本のエナジードリンクも危険、とは言えません」と指摘する。福田さんは年間700本ほど飲んでいるが、今のところ健康に全く問題はないという。「これまでエナジードリンクはケミカルな味が多く、不健康なイメージもあったが、最近はマルコメのように自然で健康志向の製品が出てきた。今後はそうした人たち向けが伸び、ますますエナジードリンクの裾野は広がっていくのではないでしょうか」と話している。 (文責・坂本宗之祐)