阪南大高が大津に逆転勝利!後半失点でプラン崩れるも、終盤の猛攻で優勝候補撃破
7月27日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)1回戦が行われ、広野町サッカー場の第2試合では阪南大高(大阪)が大津(熊本)を2-1で下し2回戦に駒を進めた。勝った阪南大高はあす28日に福大若葉(福岡)と対戦する。 【フォトギャラリー】大津vs阪南大高 試合開始から圧倒的にボールを支配した大津だったが、5-4-1の5バックで守備を固めた阪南大高を崩しきれない展開が続く。 対して阪南大高はリスクを負わず、ワントップのFW10弓場潤哉が単独で持ち運ぶなど、守備的な姿勢を崩さずにカウンターから得点機を狙った。そして試合はスコアレスのまま前半を終了。 後半も同じ展開が続いたが、それでも大津が均衡を破る。53分、左CKをMF20溝口晃史が直接狙うと、クリアされる前にボールがゴールラインを割り、大津に待望の先制点がもたらされた。 しかし、ここから阪南大高が反撃を開始。クーリングブレイクを挟み、CBを一枚減らしMF16瀬尾優斗をトップ下に投入。システムを4-2-3-1に変更し攻撃態勢に入る。すると61分、右サイドをMF13柏大輝がワンツーで突破しチャンスを作ると、こぼれを拾って左から攻め直し、最後は「隙があったら打つ」と虎視眈々とシュートチャンスを狙っていたMF14伊藤成康の強烈なシュートが相手DFに当たりわずかに進路を変えたボールがネットに突き刺さった。 ほとんどの時間帯で守備に走り回っていた阪南大高。「興奮しました!めっちゃ嬉しかったです。両親も泣いてたみたいです(笑)」というこの伊藤の同点弾がイレブンに勇気を与えた。さらに勢いを増した阪南大高、遂には逆転ゴールまで生み出す。 アディショナルタイム突入直前の70分、中盤でボールを受け前を向いたMF6福本一太が「足もしんどかったですが、相手もしんどいと思って前に運んで思い切り振った」と渾身のドリブルから右足を一閃。GKがこのシュートを弾くと、このこぼれを狙って走り込んでいた瀬尾がDFと競り合いながらもゴールにプッシュ。阪南大高が土壇場で試合をひっくり返した。 クーリングブレイクもあったため、ここから阪南大高にとっては長く感じたであろうアディショナルタイム。それでも同点ゴールを狙って襲い掛かる大津の猛攻をなんとか凌ぎ続け、ピッチにホイッスルが響き渡る。阪南大高が歓喜の瞬間を迎えた。 プレミアリーグWESTで2位のサンフレッチェ広島F.Cユースに勝点6差で首位を走る大津。しかもチームは11試合で40得点、エースのFW9山下景司は13ゴールで得点ランキングトップ。阪南大高の濱田豪監督は強烈な攻撃力を持つ相手に対し、今年初めて5バックを採用する決断を下した。 試合序盤は慣れないシステムに戸惑う表情も見られた選手たちだったが、試合が進むにつれ、相手の攻撃を跳ね返す度に"これでいいんだ"と表情から迷いが消えていき、笑顔も見えるようになっていった。そして相手の強力な攻撃陣を53分まで無失点に封じた事実が自信となってその後の反撃の原動力となった。 試合後、「(この戦い方で)何か得るものがあるんかな?」と指揮官は自身の決断に半信半疑な部分もあったと明かした。それでも兄貴分でもある阪南大のトップチームが2回も練習試合の相手を買って出てくれたことで、格上相手に5バックを試す機会に恵まれ、その甲斐もあってこの試合では相手に決定機を作らせないまでに機能した。 「(ゴールが)1回でPKでも十分だったので、2回もあって。興奮しすぎました」と予想を上回る選手たちの健闘に笑顔を見せた濱田監督は「折角大津を抜けれたので、しっかり大事にやっていきたい」と次戦に向けて意気込みを語った。 主将の福本は「大津に普通にやっても勝てないので、大声で圧倒しようと思っていました。CBの3枚がしっかり前に潰してくれたので、ボランチも前に出やすかった。5バックはハマっていたと思います」と、狙い通りだったと胸を張った。それでも「やっぱり相手はごつくてデカくて速い。フィジカル的なところは負けていた。競り合いのところもほとんど相手が勝っていたので、そこは自分たちももっとやっていかないといけない」と課題にも目を向けた。 そして「今日はしっかり疲労を取って、明日も勝ちたい」と次戦を見据えた。優勝候補を相手になりふり構わず勝負に徹し、勝利した阪南大高。だからこそ次戦は真価が問われる一戦となる。 (文・写真=会田健司)