輪島の海女、7月さあ海へ 本土沿岸モズクから漁再開
●海士町磯入組合が決定 舳倉島・七ツ島周辺は見通せず 輪島の海女(あま)がいよいよ海へ。能登半島地震の影響で見合わせていた国の重要無形民俗文化財「輪島の海女漁」が7月に再開される。漁場を管理する海士(あま)町磯入(いそいり)組合(輪島市)が本土沿岸部でモズク漁から再スタートを切ることを決定。メインの舳倉(へぐら)島、七ツ島周辺での漁再開は見通せないが、海とともに生きてきた女性たちが生業(なりわい)を取り戻す一歩を踏み出す。 海士町磯入組合には約120~140人の海女が所属。モズク漁は例年4~5月に始まり、サザエ、アワビの素潜り漁が解禁される7月ごろまで続けられる。 サザエやアワビの漁には、水揚げの拠点となる輪島港などで被災した保管用の水槽や製氷機などの復旧が必要だが、モズクは保管や選別が容易なため、先行して再開することにした。 当面は輪島沖約50キロの舳倉島や同約20キロの七ツ島より安全とみられる沿岸部を漁場とし、採取量や日数を制限しての試験的な実施とする。隆起で地形が変化した海中の調査などと合わせて漁を続け、サザエやアワビの素潜り漁に移ることができないか、タイミングを探るという。 海女漁の再開を巡っては、3日に農林水産省で輪島の海女と懇談した坂本哲志農相が「7月から再開できるよう石川県と連携している」と言及し、組合としても時期を協議してきた。 地震で生業を奪われた海女たちは、約3分の1が市外に避難、残った女性も漁場調査や舳倉島から回収したごみの仕分けなどで食いつないでいるのが現状だ。 輪島港では隆起で200隻近くの船が漁に出られず、海底を掘削する浚渫(しゅんせつ)工事が進むものの、海女たちは「早く海に出たい」と口をそろえる。磯入組合の門木(かどき)始組合長(50)は「海女はみんな海に潜りたい。できることから少しずつ取り組んでいきたい」と再び海に入る日を心待ちにしている。