部下を丁寧な言葉で邪険に扱う厭味ったらしい上司…「腕」「指」「口元」以外に"本音"がダダモレの顔の部位
「ダメな部下」を自分の力で成長できるように変えるには、どうすべきか。部下を変えるには、上司の「心の内」を変えるのが手っ取り早い。アメリカのビジネススクールで教えられている「理想の上司を演じるコツ」とは――。 【図表】マインドをセットしてからコミュニケーションを図ろう! ■無自覚な価値観の押し付けが嫌われる 社会を生き抜くために必要なスキルは数多く存在しますが、その基盤となるのがコミュニケーションです。情報収集、問題解決、チームワーク、交渉など、ビジネスシーンで求められるスキルの多くは、円滑なコミュニケーションなしには成立しません。 コミュニケーションは、単なる情報伝達の手段ではなく、関係性を築き、共感を生み、最終的に目標を達成するための不可欠なスキルです。しかし、これをビジネスの必須スキルと認識している人は、あまり多くないように思われます。 「あいつはコミュ力が高いなあ」 「俺は誤解されがちなタチで」 など、コミュニケーションの上手い下手を、才能や性格の一部と考えている人も少なくありません。プライベートでも使っているので、あらためて「ビジネスのスキル」と意識しないのかもしれません。 しかし、アメリカではコミュニケーションはれっきとしたスキルとして位置付けられ、人々は学生の頃からスクールやワークショップで学んでいます。また昇進や転職を目指す折にも、専門家のレッスンを受けたりします。スキルですからノウハウがあり、知識を得て、訓練を積むことで上達が可能なのです。 もちろん、コミュニケーションはビジネスに限定したスキルではありません。コツがわかれば自分の思いを伝えられ、他者の思いが感じ取れ、人間関係が豊かになります。ですから私は多くの人に、コミュニケーションの何たるかを知り、学んでほしいと思っています。 そもそも、コミュニケーションとは何でしょう? そう問われると真っ先に「言語表現」(言葉のやり取り)が頭に浮かぶかもしれません。ですが、仕草や表情などの「非言語表現」からも、思いを伝えたり感じ取ったりしています。 そして、言語表現/非言語表現の根っこにあるのが、感情・意思・思考・欲求などの「マインド」です。言い方を替えれば、言語表現/非言語表現は、マインドを他者に伝えるスキルなのです。 マインドを「心」と言うこともありますが、自分自身が「心の内」を理解していないこともあります。そして、自分が意識せずとも、言語表現/非言語表現に表出しています。 一方で、人間には相手のマインドを察知する能力も備わっています。言語表現/非言語表現はスキルであると言いましたが、小手先のスキルで取り繕っても、源泉にあるマインドが伴っていなければ相手に見破られてしまいます。真意は伝わらないし、本音は見破られてしまいます。 あなたにも、発せられた言葉とは異なる相手の真意が感じ取れた経験があるはずです。丁寧な言葉なのに邪険に扱われていると思ったり、親切を装って相手が自分を利用しようとしているのを察したり。逆に厳しい言葉をぶつけられながら、相手の愛情を感じることもあります。 語気や語調、間の置きかたといった“言葉の発せられかた”もあるでしょう。眉間に皺が寄っている、目が笑っていない、口元が歪んでいる、腕を組んでいる、指が忙(せわ)しなく動いている……等々。非言語表現と言われる部分からも、相手のマインドを感じ取っています。 自分は他者のマインドを感じ取る経験をしているのに、なぜか自分のマインドが他者に伝わっていることに無自覚な人がたくさんいます。しかし、それも当然かもしれません。ほかならぬ本人が、自分のマインドについて無自覚なのですから。 なので、コミュニケーションが上達したいあなたがやるべきは、まず自分自身のマインドを正しく認識することです(メタ認知)。そして「こうしたい/こうなりたい」という目的に到達するように「マインドをセットする」のです。