なぜ渋野日向子は予選落ちから逆転優勝の異例V字回復を遂げたのか。そして逆転賞金女王獲得の条件とは?
プロゴルフの国内女子ツアー「大王製紙エリエールレディス」の最終日が24日、愛媛のエリエールGC松山で行われ、2打差7位から出た渋野日向子(21、RSK山陽放送)は6バーディー、ボギーなしの「66」で回り、通算19アンダーで逆転優勝。賞金女王に望みをつなぐ今季4勝目を挙げた。同じ組で回った賞金ランキングトップの鈴木愛(25、セールスフォース)をわずか1打差でしのいで単独トップでホールアウト。だが、前日トップだった森田遥(23)の結果待ちという状況だった。 渋野は、プレーオフを想定してパット練習をしていた。そこへ2打差で迫っていた森田が18番で並べなかったとの一報が届いた。渋野は、優勝を伝えてくれたキャディーと抱き合い、両手で顔を覆って上を向いて泣いた。そしてすぐに「スマイル」が戻った。 渋野は1週間前には違う涙を流していた。 前週の「伊藤園レディス」では26試合ぶりに予選落ちの屈辱。 賞金女王争いが大詰めを迎えた局面で決勝ラウンドにも進めず「一番やっちゃいけないこと。予選落ちですもんね。情けないの一言。ショックです。泣きそう」と涙を浮かべたが、その一方で「肩の荷が下りた」とも漏らしていた。 全英Vから凱旋帰国して以来、初めての挫折が、結果的には疲弊していた心身を休め、再び前を向くきっかけを与えてくれたようだ。 「2打差だったので勝ちたいという気持ちはあった。その中でノーボギーで、このスコアで回れて優勝できた。予選落ちは無駄ではなかったと思います」 予選落ちで、結果的に試合のなくなった1週間前の日曜日には、千葉から地元の岡山へ戻って家族や地元の人たちと会ってリフレッシュした。 「大王製紙エリエールレディス」の会場がある愛媛・松山市に入る前には、お隣の兵庫県内のゴルフ場で、コーチの青木翔氏が主宰するアカデミーに顔を出し、練習もした。そこでは「未来のシブコ」を目指す夢多きジュニアたちと交流した。