【ミャンマー】財閥ヨマ「風評被害」、犯罪収益を否定
ミャンマーの財閥ヨマ・グループの持ち株会社ヨマ・ストラテジック・ホールディングス(YSH)は18日、犯罪収益が同社の不動産開発事業に充てられているなどと伝えた電子メディア「イラワジ」の報道内容を否定する声明を出した。同報道がグループの評判に悪影響を与えていると主張した。 イラワジは16日、ヨマ・グループを率いたサージ・パン前会長が、マネーロンダリング(資金洗浄)やインターネットを介した特殊詐欺で得た犯罪収益を不動産開発に充てたなどの疑いで、軍事政権当局の取り調べを受けていると伝えた。YSHは7月下旬、軍政によるサージ・パン氏の拘束が続く中、同氏が会長職を退くと発表していた。 YSHは、イラワジの報道内容には虚偽情報が含まれていると指摘。特に、特殊詐欺による犯罪収益が最大都市ヤンゴン郊外の大規模住宅開発プロジェクト「スターシティー」の拡張に充てられた事実はないと明言した。 声明では、「ミャンマー当局がYSHとその取締役、執行役員、従業員、事業活動を取り調べているという事実はない」と指摘した。新会長にはメルヴィン・パン氏(サージ・パン氏の長男)が就任しており、サージ・パン氏が軍政にどのように扱われているのかは不明瞭となっている。 スターシティーは川を挟んでヤンゴン中心部に面するタンリン郡区に位置するもので、ヨマ・グループは新たな住宅区画の販売に力を入れている。6月上旬には近隣に日本の政府開発援助(ODA)の円借款で開発された第3タンリン橋(新バゴー橋)が開通し、スターシティーへのアクセスが改善している。 軍政下でミャンマー経済の不振が続くが、現地通貨安を受けた資産逃避先として不動産や金などの取引は活発化している。軍政はここ数週間でビジネス関係者を相次ぎ拘束しており、「(軍政が苦境の中で)好調なビジネスが目を付けられている」(ヤンゴンの企業関係者)との声も出ている。