8月の企業倒産は746件、28カ月連続で前年同月を上回る 8月としては過去10年で最多 ― 全国企業倒産集計2024年8月報
2024年の年間合計、前年比2割増ペースで1万件超え
日銀による7月末の追加利上げ決定後の金融市場は、株式、為替相場ともに、8月以降も不安定な状況が続いている。8月23日に衆参両院の閉会中審査が行われ、日銀の植田総裁は、「経済・物価が見通しに沿って推移すれば、さらに金利を引き上げる考え」を繰り返し説明した。「金利のある世界」が広がりつつあるなかで、長年にわたって本業が回復せず利上げにも対応できない小規模事業者の淘汰が、これから一定数発生することは避けられそうにない。 当面注目される国内外の主なトピックとしては、①米中経済の減速懸念、②中東情勢の緊迫化、③国内与野党の党首選および次期衆院選、④米大統領選の行方などが挙げられる。いずれもすぐに倒産件数に影響を及ぼすものばかりではないものの、大手、中小を問わず、国内企業を取り巻く経営環境や、関連する経済政策が大きく変化する可能性もあり注視していきたい。 2024年8月の企業倒産は、小規模事業者を中心に746件発生し、28カ月連続で前年同月を上回った。前年同月からわずか4件増(0.5%増)にとどまり、前月までの増加ペースはやや鈍化している。これは、金融機関のリスケ支援等による下支えに加え、昔から「二八(にっぱち)」という言葉があるように、少ない営業日数や気候などから経済活動がスローダウンする2月、8月は、倒産件数が他の月に比べて低水準にとどまる傾向があることも影響したとみられる。 この結果、2024年1-8月の倒産件数は6553件となり、前年同期(5449件)を20.3%上回った。すでに2022年の年間合計(6376件)を上回っているうえ、前年を2割上回るペースで推移している。物価高や人手不足、追加利上げの影響が今後広がるなかで、企業倒産がすぐに減少に転じる要素に乏しく、2024年の年間合計は1万件(2023年:8497件)を超える見通しである。