世界的に株価乱高下、資産形成のテーマは「分散」にシフト?
しかし、8月に入ってからの株価急落は、それまでの「M7集中投資」という状況を大きく変えるインパクトになったのではないだろうか。そもそも株式市場関係者の間では、「M7集中投資」による対象銘柄の割高是正の必要性を説く声があがっていた。それでもM7の株高が止まらなかったが、2024年になって新NISAの積立投資で「S&P500」よりも「全世界株式(オール・カントリー)」がより多く選ばれるという傾向が強かったのは、「M7割高」という懸念を背景としていたと考えられる。今回の急落によって、「M7集中投資」から「M7以外の銘柄への投資」という流れが進む可能性がある。
「M7以外の銘柄への投資」を促す動きは、投信の新ファンドのラインナップにもうかがえる。たとえば、日興アセットマネジメントが5月17日に新規設定した「全世界超分散株式ファンド」は、新興国を含む全世界1万3000社の株式に分散投資するファンドだ。また、大和アセットマネジメントが8月9日に新規設定する予定の「一歩先いく グローバル・イノベーション企業インデックス」は、グローバルなテクノロジー企業15社に投資するため、M7に加えて、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)や台湾のTSMC、あるいは、ヘルスケア分野のイーライリリーやノボ・ノルディスクなどにも投資する。集中投資しつつ、投資地域やセクターを広げているところに特徴がある。
もちろん、M7以外の銘柄への分散が図られるにしても、M7の相場が終わったというものではないだろう。「S&P500」や米国株式を対象としたファンドに偏った運用ポートフォリオになっているのであれば、プラスアルファとしてその他の地域やIT企業以外のセクターへの投資、また、大型株ではなく中小型株への投資、さらには、債券やゴールド(金)への投資など、投資先を分散させるという動きを促す動きが強まるのではないかと考えられる。新設ファンドの動きも含め、今後の投信市場の人気銘柄の変化に注目していきたい。(グラフは、「FANG+」や「S&P500」など主要ファンドの推移)
ウエルスアドバイザー