【ライブレポート】サニーデイ・サービスとbetcover!!が激突、壮絶ロングセッションで超満員の会場を圧倒
ライブナタリーが主催する企画「ライブナタリー “サニーデイ・サービス × betcover!!”」が10月29日に東京・LIQUIDROOMで開催された。 【写真】壮絶なセッションを繰り広げるサニーデイ・サービス 本公演では、30年以上にわたってロックシーンに影響を与え続けるサニーデイ・サービスと、シーンで今最も注目を浴びる孤高の若手ロックバンドbetcover!!が競演。両バンドのフロントマンである曽我部恵一と柳瀬二郎は、かねてから交流があり、コロナ禍中には2人の無観客ツーマンライブがLIQUIDROOMの上のKATAで行われているが、バンドとしてのツーマンライブはこれが初だ。チケットは当然のごとく即完。そして雨が静かに降るライブ当日、超満員の会場に現れた両バンドは、それぞれ約60分の持ち時間で激突し、壮絶な一夜を作り上げた。 ■ サニーデイ・サービス 先攻は意外にもサニーデイ・サービス。出演順は事前に明かされていなかったが、幕が開いて曽我部恵一(Vo, G)、田中貴(B)、大工原幹雄(Dr)がそこに姿を見せると、驚きの交じった歓声が広がった。3人はドラムカウントから「I'm a boy」でライブを開始。同時に凄まじい迫力のドラムとベースが会場を揺らし、曽我部の伸びやかな歌声とアグレッシブなギタープレイが観客を熱狂に導いていく。 betcover!!との“対決”を楽しみにしていたという曽我部は、話すことは特にないと笑いつつ「なので演奏がんばります」と意気込み、ギターを掻き鳴らす。「白い恋人」や「桜 super love」といったロマンチックなナンバーも含め、この日の3人の演奏はとにかくパワフルで活力に満ちあふれていた。彼らはライブ中、何度も向かい合うと激しいセッションを展開。気迫あふれる音のぶつけ合いで観客の視線を釘付けにした。 和やかなMCから演奏された「コンビニのコーヒー」でそのエネルギーを一気に爆発させた3人は、「今夜でっかい車にぶつかって死んじゃおうかな」という衝撃的な歌い出しの人気曲「春の風」や「そっちはどうだい うまくやってるかい」と呼びかける代表曲「青春狂走曲」、ポジティブなバイブスの「風船讃歌」を怒涛の勢いで連発。最後は「セツナ」で6分以上にわたるセッションを繰り広げ、桁違いの熱量で観客をノックアウトした。 ■ betcover!! betcover!!は、柳瀬二郎(Vo, G)、白瀬元(Key)、吉田隼人(B)、高砂祐大(Dr)、松丸契(Sax)の5人編成で登場。スーツで身を固めた彼らには張り詰めたムードがあり、サニーデイ・サービスの親しみやすい雰囲気とは対照的だ。1曲目は「炎天の日」。悲しげなピアノの旋律に乗せて柳瀬は静かに歌い始めるが、彼が声を張り上げると、バンドの演奏も次第に凶暴化。ステージは真っ赤に染まり、観客は息を呑んで演奏に見入る。 その後も彼らは静まったかと思えば突如襲いかかる暴風のようなスリリングなライブを展開。「狐」「幽霊」といった妖艶な楽曲で観客を惹き付けつつ、ライブ定番の「壁」「あいどる」「翔け夜の匂い草」を狂気的なまでに激しいアレンジで畳みかける。さらにセッションからなだれ込んだ「火祭りの踊り」で鬼気迫る熱演を見せた彼らは、柳瀬の「馬鹿野郎!」という怒声から「バーチャルセックス」に突入。疾走感あふれる演奏で観客を熱狂させた。 ライブのハイライトとなったのは「皆さん思い思いコーラス参加してくれたらと思います」という柳瀬の言葉から披露された「超人」。原曲からして9分超えの長尺曲だが、この日の演奏はさらに長く続き、狂騒的な爆音と咆哮の嵐が会場を飲み込む。観客はただただ圧倒されるのみで、当然参加する余地などない。興奮し切った観客たちに静謐なアレンジの「不滅の国」を届けたbetcover!!は、最後に「平和の大使」を演奏。そのクールな佇まいにすっかり魅了されたファンの熱い眼差しを受けながらステージを去っていった。 ■ セットリスト □ 「ライブナタリー “サニーデイ・サービス × betcover!!”」2024年10月29日 LIQUIDROOM □ サニーデイ・サービス 01. I'm a boy 02. 魔法 03. 白い恋人 04. さよなら!街の恋人たち 05. 桜 super love 06. コンビニのコーヒー 07. 春の風 08. 青春狂走曲 09. 風船讃歌 10. セツナ □ betcover!! 01. 炎天の日 02. 狐 03. 幽霊 04. 壁 05. あいどる 06. 翔け夜の匂い草 07. 母船 08. フラメンコ 09. 火祭りの踊り 10. バーチャルセックス 11. 超人 12. 不滅の国 13. 平和の大使