いまアツい! 火と水の国・熊本、半導体とバイクの聖地の「わさもん」気質
連載《A RIDE FOR FUN》Vol.9
台湾の大手半導体メーカー、TSMC(台湾積体電路製造)の工場進出で注目を浴びる熊本県は、豊かな自然と風土が国内外の人々を魅了する日本有数の観光地を抱えています。加えてモビリティーの分野でも独自の存在感を世界に示す、意外な一面も備えています。今回のA RIDE FOR FUNでは、その熊本の現状を考察してみたいと思います。 【写真はこちら】爽快ツーリングスポットから「先進」の市電、鶏炭火焼までチェック! 熊本県では阿蘇の豊富な水資源を生かした電子部品・デバイス産業が盛んですが、それと並んで自動車産業も大きな存在といえます。なかでも二輪自動車の出荷額は都道府県別で全国1位を誇る規模です。その主な理由は、ホンダの二輪車・パワープロダクツ事業のグローバルマザー工場である熊本製作所(通称:熊製=くませい)が、阿蘇の玄関口である熊本県大津町にあるからです(冒頭写真)。ここは二輪を祖業とするホンダにとって、文字通り基幹事業の要となる工場なのです。 1976年に操業を開始した熊本製作所は、ホンダにとって4番目の製作拠点です。二輪車生産台数は昨年5月16日に累計2000万台に達しました。車種はエンジン排気量50ccのコミューターから1800ccの大型バイクまで幅広く生産しています。 2008年には国内の二輪生産を当時の浜松製作所からここ熊本製作所へ移管・集約し、その後、北米や欧州からも大型モデル生産を移した経緯があります。現在、ホンダにとっては世界唯一の大型モデル生産拠点であり、ここから世界約60カ国へ輸出しています。まさに世界中でバイクファンを生み続ける拠点といっても過言ではありません。 熊本製作所はホンダの工場の中でも敷地が最も広く、自然環境にも恵まれています。「カーボンニュートラル」(温暖化ガスの実質排出ゼロ)「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション(資源循環)」を3本柱に環境負荷ゼロ社会の実現に取り組むホンダにおいて、その具体的な施策を実行する先駆的な工場という役割も果たしています。