祖父、父、夫、そして自分も“ギャンブル依存症”を経験!「一番ダメなのは借金の肩代わり」と専門家が警鐘
大人の娯楽・ギャンブル。適度に楽しむ分には問題ないが、ハマりすぎると必要なお金まで使ってしまい、大切な家族や友人に迷惑をかけてしまうことも……。 もし、自分の家族や大切な人がギャンブル依存症になっていたら、「支援しない支援が大切」と専門家の田中さんは言う。
今回は家族のギャンブル依存症を疑う場合、どのように向き合えばいいのか聞いてみた。
お金の問題が出てきたら、ギャンブル依存症のサイン
ーーまず、家族がギャンブル依存症だと気付くサインはありますか? 今の時代、日頃の行動からギャンブルに依存しているか判断するのは難しいです。 かつて多かったパチンコ依存症なら、夜11時まで帰ってこない、帰宅後の服にタバコ臭が染み付いていることで気付けました。しかし現在は、スマホでギャンブルができるようになり、パチンコ店も禁煙に。そのため、普段の行動からギャンブルに依存していると気付きにくくなっているのです。 見分けるとしたら、お金の使い方。安定した収入があったり、十分なお小遣いを渡していたりするのに、いつも金欠な場合はギャンブルで消費している可能性があります。 ーー昨今はお金の使い方で気付くことが多いんですね。 お金を貸してほしいという話が出たら、詳しい事情を聞いてみることが大切です。そこでギャンブルに依存しているのでは? と感じたら、まずはご家族だけでも相談機関を訪ねてください。 ギャンブル依存症を一人で克服することは難しいため、周りのサポートが必要です。自助グループや家族会があるので、まずはご家族の方が参加し、依存症に関する知識を身につけましょう。
ギャンブル依存症の家族は「支援をしない支援」をする
ーーギャンブル依存症で悩んでいる人に対して、家族はどう向き合うべきですか? ギャンブル依存症に悩んでいる人のご家族は「支援をしない支援」を学んでほしいです。普通、家族でギャンブル依存症の人がいたら、やめるようにお金や行動に制限をかけたくなると思います。 しかし制限すればするほど、ギャンブルしたくなるため実は逆効果。例えば、携帯にGPSを入れて行動を監視しようとすると、家に携帯を置いて出かけてしまいます。使えるお金を制限した場合は、消費者金融や友人、同僚から借金するでしょう。 ーー家族が一番やってはいけない行動はなんでしょう? 消費者金融で借りたお金を肩代わりすることです。合法の借金なので、返済ができない場合は自己破産や個人再生、任意整理などで対処できます。 しかし、金利を心配して家族が肩代わりしてしまうと、借りたお金は変わらないのに法的な整理ができません。結果的に借金を返せなくなり苦しくなったときに、一発当てようと大金を入れてしまいます。 ーーお金の問題が、ギャンブル依存症を悪化させてしまうのですね。 家族はつらいと思いますが、借りている間は立て直せることを知り、何もしないことが大切です。家族会や自助グループでは、依存症の原因や正しい対処法について学び、お互いの経験を知る活動をしています。周りの人も同じ経験をしているので、だんだん諦めがつき、心が癒されるでしょう。 ギャンブル依存症は完治しないといわれているため、一時的にやめられたとしても、強いストレスを感じると再発してしまう場合があります。しかし、家族会のような自分の経験が活かせる場所や、助け合える仲間がいれば、ギャンブルをせずに生活することが可能です。 私はギャンブル依存症から回復して20年経ってますが、いまだにつらいときはギャンブルしたくなります。ですが他の人の支援をしていると、昔の経験があったから今の自分がいる。人助けするためにつらい思いをしていたんだという思考になり心が癒されます。 そして今ギャンブル依存症で悩んでいる人や、ご家族の苦しみを解放できる。依存症は慢性疾患なのでとても大変ですが、自分が社会貢献することで回復する不思議な病気なのです。