日本でも広がる?自治体初、都が発行目指す債券「グリーンボンド」とは
「28度は暑すぎる」という環境副大臣の発言が話題になり、改めて“クールビズ”が注目されています。地球温暖化を少しでも食い止めるため、CO2の削減を目標に導入された“クールビズ”は小池百合子環境大臣(当時)が発案したとされています。 昨年、東京都知事に就任した小池知事は、都独自の環境政策にも熱心に取り組む姿勢を打ち出しています。例えば、家庭内の電球をLEDに取り換える奨励策やCO2削減のために自転車シェアリングの拡大・普及を後押ししていたりします。また、知事自らが太陽光発電パネルを設置し、省エネルギー化が図られている邸宅に居住。環境に取り組む姿勢をPRしています。 さまざまな環境政策を打ち出している小池知事ですが、今、注目されているのがグリーンボンド債の発行です。現在、日本においてグリーンボンド債が発行された事例は数えるほどしかなく、地方自治体が発行した前例はありません。注目が集まるグリーンボンド債とは、どんな債券でしょうか? そして、なぜ注目されるようになっているのでしょうか?
2015年パリで開催されたCOP21がきっかけ
近年、アメリカやヨーロッパでは環境意識の高まりから、グリーンボンド債が注目されるようになっています。世界のグリーンボンド債の発行総額は、2015(平成27)年度が約418億USドル、翌2016(同28)年度は810億USドルと急伸しているのです。これらの数字は、債券市場全体から比較すると、まだまだ小さな額です。それでも驚異的な伸び率と言えます。 「グリーンボンド債が国際的に注目されるようになったのは、2015年にパリで開催されたCOP21がきっかけです」と説明するのは、環境省総合環境政策局環境経済課の担当者です。 それ以前より、欧米諸国の投資家、特に機関投資家の間でESG投資の機運が高まっていました。ESGとは、Ecology=環境・Social=社会・Governance=統治を考慮する投資方法です。ESG投資の機運が高まっていた背景は、2006(平成18)年に国連が機関投資家に対してESGに配慮するように求めたことが一因にあります。 そうした潮流から、地球温暖化対策や自然資本の劣化を防止するための政策・プロジェクトに対して民間資金を導入することを目的にしたグリーンボンド債の発行が相次いだのです。