初代『ウルトラマン』キャスト陣も衝撃…人気絶頂だったのに「突如打ち切り」 何があった?
キャストに知らされた突然の番組終了
特撮作品は通常、本編と特撮の2班に分けて行われます。本作は最初にクランクインした第2・3・5話のみ1班体制で行われ、その後は従来の2班体制に戻すも、特撮班のスケジュールの遅れは挽回できず、第18話「遊星から来た兄弟」&第19話「悪魔はふたたび」では、円谷英二自ら特殊技術(特技監督)として登板します。 OPでは高野宏一がクレジットされていますが、当時のスタッフの証言や、第18話は円谷英二の使用台本が残されているほか、第19話は円谷が演出中の現場写真が存在するなど、全面的にコミットしたことは、ほぼ事実として認識されています。現在ではファン必見のエピソードとしても知られていますが、裏を返せば、それだけスケジュールがひっ迫していた証でもあります。 また、科特隊のフジ・アキコ隊員を演じた俳優の桜井浩子さんも自著で、途中からスケジュールがタイトになってきたと回顧しています。さらには第17話の映像では頬がこけて映っているとも記しており、撮影の大変な状況が伝わってきます。 そんな状況下、高視聴率ゆえに放送を続けたいTBSと、放送に穴が空くのを懸念した円谷プロの間で話し合いがもたれ、最終的に第39話での打ち切りが決定しました。桜井さんらレギュラー陣は、第38・39話(最終回)の台本を受け取って初めて番組の終わりを知ったそうで、いかに混乱していたかがうかがえます。 後番組には東映の『キャプテンウルトラ』の2クールを挟み、その半年の間に円谷プロは、次回作『ウルトラセブン』を準備して世に放ちました。 しかしながら『ウルトラマン』ほどの成果を収められず、さらに続く『怪奇大作戦』終了後には、会社自体が規模を縮小せざるを得なくなるなど、『帰ってきたウルトラマン』までの数年間、苦難の道を歩むこととなります。歴史に「if」はありませんが、もし、『ウルトラマン』が充分な体制で放送を維持できていたら、果たしてどうなっていたでしょうか。 (参考書籍) 別冊映画秘宝ウルトラマン研究読本 (洋泉社MOOK) 『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話(アルテスパブリッシング)
田中一