尹大統領、内乱首謀者である証拠明白…出頭に応じない場合は逮捕状の見通し
検察、異例にも早期に出頭要請、なぜ?
検察が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に出頭を要請した日は、国会での弾劾訴追案可決3日前の11日だった。その前日の10日に裁判所がキム・ヨンヒョン前国防部長官の拘束令状を発行した際に「検察は非常戒厳事件の捜査を開始できる」との判断を下した直後であり、「捜査権問題」が一段落するやいなや尹大統領に「直行」したかたちだ。「尹大統領と(非常戒厳を)共謀した」との供述を確保したため尹大統領の犯罪容疑が明確になったことや、警察や高位公職者犯罪捜査処(公捜処)との捜査競争を繰り広げていることなどが影響を及ぼしたと分析される。 ソウル中央地裁のナム・チョンギュ令状担当部長判事は10日、キム前長官の拘束令状を発行した際に「検察庁法に則り、検事が捜査を開始しうる犯罪の範囲内にあると判断される」と述べた。チョ・ジホ警察庁長らの警察公務員が関与した犯罪であるだけに、検察は12・3内乱を捜査できるとの判断を下したのだ。警察は、翌日の午前3時49分にチョ庁長とソウル警察庁のキム・ボンシク庁長を緊急逮捕している。 これまで検察は、非常戒厳時に国会と中央選挙管理委員会に動員された軍と警察に対する調査さえ終われば、すぐに尹大統領に対する捜査が実現すると判断してきた。尹大統領がテレビの生中継で非常戒厳を自ら宣布しただけに、軍と警察による国会などの憲法機関の掌握の試みが「尹大統領の指示によるもの」であるという部分さえ立証すれば内乱罪の構成は可能だと判断したからだ。実際にキム前長官の拘束令状に尹大統領を内乱の共犯者であると明示している検察は、尹大統領に出頭要求書を送った際に「内乱の首謀者」容疑を明示したという。 検察は、裁判所から内乱罪捜査の妥当性が認められていること▽警察もチョ長官らを緊急逮捕していることから、尹大統領の取り調べへと直行しうると判断したものと分析される。元部長検事のある弁護士は、「尹大統領本人が国会投入を事実上陣頭指揮したという供述が多くの関連者から共通して得られているため、直接呼んで捜査する根拠がすでに十分ある」として、「警察や公捜処などとの捜査競争が激化していることも、先制的な出頭要求に影響を及ぼしたと思う」と語った。 検察がここのところ非常戒厳に動員された軍の司令官に対する捜査を強めているのも、尹大統領の出頭を念頭に置いているためとみられる。検察は13日にヨ・インヒョン国軍防諜司令官、14日にはクァク・チョングン陸軍特殊戦司令官の拘束令状を請求している。また、15日にはイ・ジヌ首都防衛司令官とパク・アンス陸軍参謀総長(元戒厳司令官)の拘束令状を請求している。非常戒厳時に動員された主要部隊の長の全員の身柄を事実上確保したのだ。彼らは検察の取り調べで、尹大統領が戒厳時に電話をかけてきて「国会内の人員を引きずり出せ」と指示されたと供述している。「戒厳は警告のためのもの」だったとする尹大統領の主張を覆す重要な供述だ。 尹大統領が取り調べに応じない場合、逮捕状や事前拘束令状が請求される可能性も高いとみられる。検察は通常、容疑者が出頭要請に3回応じない場合は逮捕状を請求する。検事長を務めた経験を持つある弁護士は、「現職大統領の逮捕状の請求は前例がないが、職務が停止されているうえ、『内乱罪』という重大な容疑がかけらているだけに、予想より早く強制的に身柄の確保が試みられる可能性がある」と指摘した。 イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )