賞金女王を狙う渋野日向子の死角
「元々アプローチは得意ではなかった。特にフェースを開いて打つのは距離感を合わせるのが難しいけど、練習してきてだんだんとコツが分かってきた」と話していたことがあったが、前週終了時点のリカバリー率(パーオンできなかったホールでパーかそれよりいいスコアを獲得する率)は64・5833%で全体の11位。賞金ランキング1位の申ジエ(韓国)は72・7575%で1位と安定度では大きく水を開けられている。 バンカーからパーを取るサンドセーブ率も44・9275%で26位と悪い。申ジエは54%と、ここでも渋野をリードする。昨年プロテストに合格したばかりの20歳に多くを求めるのは酷な話だが、これらの数字を上げていかないと賞金女王の道は険しくなる。 しかし、小技に不安を抱えながらも平均ストロークは70・8250で4位につけ、平均バーディー数は3・8718、パーブレーク率(パーかそれよりいいスコアを獲得する率)は21・8661%でともにトップに立っている。当然ながらパーオンすればバーディーで上がれる確率は上がるが、ほかの選手より顕著なのが渋野のゴルフの特徴。ただ、肝心のパーオン率は26位の69・2308%と高くないだけに、アプローチの技術を少しでも上げることが1円でも多く稼げる近道となる。 「収穫はなかったですね。課題だらけ。全部かな」と前週を振り返ったが、課題を見つけたことが収穫と考えれば道は開けてくる。今週の「日本女子オープン選手権」を含めて、今季は残り9試合。賞金ランキング2位の渋野とトップの申ジエの差は1125万7162円とまだ1試合で立場はひっくり返る。 アプローチには不安が残るが、誰よりもバーディーを取れるゴルフができるのが渋野の最大の強み。「環境が大きく変わってついていけない」と戸惑いながらも、自分を見失わないメンタルの強さもある。初めて戦う長丁場のツアーを乗り切る体の強さもある。次は10月3日開幕の国内メジャー「日本女子オープン選手権」。シンデレラストーリーのエンディングはハッピーエンドと相場は決まっている。