「こんなにつらいの!?」 フェムテックの理解を深める“生理痛体験を通した想い合い研修”が話題
女性が抱える健康課題を技術や知識、サービスで解決することの総称とされるフェムテック・フェムケア。男性版のメンテック(オムテック)では、男性の健康課題を解決するアイテムやサービスも増えてきている。フェムテックで重要な要素のひとつは、女性特有の健康課題を男性が理解することだ。この数年のフェムテックの盛り上がりによってフェムテック関連の研修会が注目されているが、そのなかでも異色の研修がある。 【画像】生理痛VR体験デバイス「ピリオノイド」、「生理痛体験研修」を詳しく、写真を見る(全8枚)
生理のつらさを疑似体験する、生理痛体験研修
大阪ヒートクール株式会社が主催している「生理痛体験を通した想い合い研修」は、生理の経験がない男性はもちろん、女性にも生理痛を疑似体験してもらうことで、他人の痛みを知る難しさを理解してもらい、生理痛に限らずさまざまな痛みについてわかり合うきっかけ作りを提供している。本研修で使用されているのが、生理痛VR体験デバイス「ピリオノイド」だ。
大学の研究の中で開発された「生理痛VR体験デバイス」
「ピリオノイド」は、甲南大学と奈良女子大学で、生理痛再現の可能性と効果を検証する研究の中で開発された生理痛VR体験デバイス。この研究は、生理痛のつらさについて女性間で理解を深めることが動機になっている。 本VR装置は、エクササイズ機器にも使われている技術・筋電気刺激(EMS)を用いることで、生理のときに生じる腹部の痛みを段階的に体験できる仕組み。アーティストのスプツニ子!さんは、ピリオノイドと同じ原理かつ同じコンセプトで映像作品「生理マシーン、タカシの場合。」 を2010年に発表している。 EMSは、微弱の電気によって筋肉を収縮させ刺激する技術。EMSを使った一般的なエクササイズ機器では、使う人に合わせて電気刺激の強さが調節可能だ。ピリオノイドはこの技術を使って、生理痛に似た刺激を擬似的に作り出している。
「生理痛体験を通した想い合い研修」とは?
研修内容は大きく3つに分かれる。 ①「セミナー」:生理痛の基本知識と、これから体験するデバイスについての説明 ②「生理痛体験」:ピリオノイドを装着し、生理痛を疑似体験。一人ひとりがピリオノイドを装着し生理痛を疑似体験していく。体験時間は一人につき2~5分 ③「ワークショップ」:カードを使い、生理痛に限らずさまざまな痛みについて企業としてどう取り組めるのかアイデア出しを行う。生理痛体験で実感した、痛みの感じ方の個人差などを考慮して、さまざまな意見をディスカッションする。 同研修のコンセプトは、性別問わず幅広い人に他人の痛みを知る難しさを理解してもらい、生理痛に限らずさまざまな痛みについてわかり合うきっかけを作ること。そのため対象者は限定しておらず、男女一緒に参加できる。 同研修の経緯を、主催の大阪ヒートクール株式会社CCOに聞いた。 「そもそも生理痛VR体験デバイス『ピリオノイド』は、個人差がある生理痛の辛さについて、女性間で理解を深めたいという研究の中で開発したものです。ある日、大学での研究を知った企業様から依頼を受けて研修を実施したところ、『この研修は男女問わず受けるべき内容だ』とお声をいただきました。 現在、提供している研修では、生理痛の痛みに限らず、他人の痛みを理解することが難しいことを感じてもらい、他人の痛みを想い合う環境を作る内容となっています。企業様は生理の痛みをリアルに知りたいのではなく、研修を行うことで男性も女性もより働きやすい環境を作りたいという思いから、同研修を依頼されることが多いようです。その期待に応え、必要とされる研修を作っています」