米国のEV市場減速は一時的か、1-3月は過半数メーカーで販売増加
だが2024年を見通した場合、GMは米国におけるEV成長の最大の原動力となる可能性がある。同社は人気車種の一部の電動化にコミット。これまで長年にわたって遅れが生じてきたが、ようやく生産にこぎ着けつつある。そうした車種には3万5000ドル(約550万円)のスポーツタイプ多目的車(SUV)「エクイノックス」や「ブレイザー」、ピックアップトラックの「シルベラード」や「GMCシエラ」などが含まれる。
またEV減速が声高に語られているが、中長期的な見通しの多くは変わっていない。国際エネルギー機関(IEA)は4月、米国における完全EVの販売台数が2025年に250万台に急増すると予想した。23年は110万台だった。
懸念要素はテスラ
米EV市場を見通す上での最大の不透明要因は、テスラの製品パイプラインだ。テスラ車は同市場の半分を占める。同社は販売全体の95%をモデル3とSUV「モデルY」の2車種に依存。昨年は販売維持のため繰り返し値下げを実施したが、今年第1四半期の販売は低迷した。
テスラの新車投入スケジュールは、スポーツ車「ロードスター」や、「より手頃な価格のモデルを含む新車」が来年投入されるというイーロン・マスク氏による4月の漠然とした示唆を除けば、事実上白紙状態だ。
テスラが低調な1年を経験したことから、他のEVメーカーには市場に入り込む余地が生まれているが、米国におけるEV減速の議論には自己実現的な側面もある。テスラのつまづきを受けて一部の自動車メーカーは市場がより明瞭になるまで自社の投資を控えるべきだと結論付けていると、ブルームバーグNEFのEVアナリスト、コーリー・キャンター氏は分析する。だがキャンター氏は、投資を控えるのではなく、現代自やGMに続き、各メーカーはより手頃な価格のEVを積極的に投入して規模の経済を達成すべきだと指摘する。
キャンター氏は「いつものことながら自動車メーカーは懸念し過ぎているのだろう。テスラが現在やや問題を抱えているのは事実だ」としつつ、「市場シェアを奪いたい、または高い水準でのパフォーマンスを維持したいというのであれば、メーカーはEVの大量生産を始める必要がある」と述べた。