夫婦と3歳の子ども一人の「三人家族」です。四人家族になったら月の支出はいくら変わりますか?
一人目の子どもが生まれたあと、家庭によっては二人目を考えるケースもあるでしょう。子どもが増えると、教育費や食費などが増加する可能性があります。子どもたちの将来のためにも、さまざまな選択肢を提供できるだけの貯金があるのか考えておくことが必要です。 もし、子どもが進学するための費用が不安なら、貯金を始めとするほかの方法も活用して、教育費を用意しておきましょう。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい? 今回は、三人家族と四人家族の平均消費支出の違いや、子どもが進学するときに必要な費用などについてご紹介します。
三人家族と四人家族で支出はどれくらい変わる?
総務省統計局が公表している「家計調査 家計収支編 2023年」によると、勤労者世帯かつ世帯主が60歳未満の世帯のうち三人世帯における月の平均消費支出額は32万9411円、四人世帯の平均消費支出額は月に32万8074円です。 平均消費支出額だけ見ると、三人世帯と四人世帯に大きな差はありません。一方、主な項目別の平均支出額は表1の通りです。
出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 2023年」を基に筆者作成 項目別に比較すると、教育費が三人世帯だと平均で月1万8129円なのに対し、四人世帯だと平均で月3万1556円の約1.7倍に上昇しています。全体の平均消費支出額で見て大きな差はなかったとしても、教育費が多くかかることは把握しておきましょう。 なお、四人世帯の方が全体の平均消費支出が少ないのは、教育費以外の支出、特に交通・通信費とその他の消費支出が三人世帯よりも低くなっているからだと考えられます。その他の消費支出には交際費やこづかいなどが含まれており、家族が増えることでこうした費用をおさえていると考えられるでしょう。 特に、教育費は入学金や修学旅行費など、一度に多額の出費が発生しやすい項目です。現段階で家計の収支がほぼ同じ場合、突発的な出費に対応できない可能性があります。
子どもが高校を卒業するまでにかかる費用は?
子どもの教育費は、子どもが公立学校に進学するか、私立学校に進学するかでも変わってきます。文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、小学校から高校までの1年間の学習費総額はそれぞれ以下の通りです。 ●公立小学校:35万2566円(6年間換算:211万5396円) ●公立中学校:53万8799円(3年間換算:161万6397円) ●公立高校(全日制):51万2971円(3年間換算:153万8913円) ●私立小学校:166万6949円(6年間換算:1000万1694円) ●私立中学校:143万6353円(3年間換算:430万9059円) ●私立高校(全日制): 105万4444円(3年間換算:316万3332円) それぞれの学習費を合計すると、すべて公立学校だと527万706円、私立学校だと1747万4085円になる計算です。子どもが二人になると、それぞれの費用がほぼ2倍必要になります。 私立学校よりも公立学校の方が費用は安くおさえられますが、子どもたちに幅広い選択肢を与えたいならどちらを選んでもサポートできるよう、収入にある程度余裕があった方がよいでしょう。 特に注意したい点が、一人目と二人目で子どもの対応にできるだけ差が出ないようにすることです。 例えば、一人目の子は私立学校に進んだものの、二人目の子の進学時に余裕がなくなり公立学校のみの選択肢しか与えられない、あるいは二人目の子の教育費を用意するために一人目の子には公立学校を選んでもらう、といった方法にすると、兄弟姉妹間で確執が生まれる可能性があります。 さらに、現在3歳の子どもが一人ということは、まだ入学費や学習費などの本格的な教育費は発生していません。 子どもが大きくなるにつれ必要な教育費も増加する場合があるため、現状で収支が同じだと一人目の教育費が足りなくなる可能性もあります。二人目を考える前に、そもそも一人目の教育費が今後足りるのかを考えておくことも大切です。