結成からの一つの集大成。Billyrrom、1stアルバムが完成!
2020年の結成以来、メンバーそれぞれのルーツを落とし込んだ唯一無二のグルーブとサウンドを武器にライブシーンでもバイラルのシーンでも存在感を高め続けてきた6人組Billyrrom(ビリーロム)が、ついに1stフルアルバムを完成させた。 【全ての写真】Billyrromメンバーの撮り下ろしカット 今年3月にリリースしたアンセミックなロックチューン「DUNE」以降、自らの活動を「第2章」と位置づけバンドの描き出す世界を広げ続けてきた彼ら。9月25日にリリースされたアルバム『WiND』は、そんなBillyrromの挑戦の集大成であると同時に、スタイルや音楽性が変化しながらも貫かれ続けるバンドの決意を示す、ターニングポイントとなる1作となった。 2025年には全国6都市を巡るアルバムツアーも決定。この6人にしか生み出せないスリリングなグルーブからバンドの信念を改めて刻むメッセージまで、今のBillyrromの全てを注ぎ込んだ今作を手に、彼らはさらに大きな舞台へと突き進んでいく。 ――4月にリリースした「DUNE」以降、Billyrromは「Chapter 2」として新たな挑戦をしてきました。実際に今回のアルバムを聴いてもその変化ははっきりと出ていると思うのですが、みなさんの中ではどういう意識をもって今年、進んできたのでしょうか。 Rin(G) 去年の『noidleap』というEPのテーマが自分たちの考えていること、妄想だったり、描いているものを飛躍させていくというものだったんですけど、その後にツアーがあって、ワンマンがあって、ってバンドとして時間を重ねていく中で、一緒にたくさんの景色を見てきて。より広い空間の音楽を作れるようになったんです。それこそ「DUNE」のような規模感のロックをずっと作りたかったんですけど、それを作る経験も技量もまだなかったので、なかなか完成させることができなくて。「DUNE」はやっぱり自分たち的には一段上にあがれた、なんとなく課題だったものを一個クリアできた瞬間だったんです。バンド名の由来にもなっているんですけど、自分たちがいいと思ったものをいろんなところでいろんな形で更新し続けていくというのがテーマだったんですけど、「DUNE」以降はそれができるようになった。それがアルバムにも表れていると思っています。 ――それはやってくる中で見える景色が広がって、イメージできるものが大きくなっていったということなんですか。 Rin たぶん、もともとイメージはしていたんだと思うんですよ。でもそれを作品に落とし込むっていう作業がなかなかできなかった。やっぱりそれだけ空間が広くなるとどんどん秩序が取れなくなっていって、それを6人で1個の作品に落とし込むのがかなり難しい作業になっていくんですよね。でも意思疎通がだんだんできるようになっていったんだと思います。 ――Molさんはそういう変化についてはどうですか。 Mol(Vo) 個人的には「DUNE」が大きなきっかけだったとは思っていなくて。すごくナチュラルに今のスタンスになってきたような気がします。みんなとも「これ以降は今までと変えよう」というコミュニケーションは取ってないし、自然とみんなの認識が違うステージに行ったような感覚がありますね。一緒に失敗したり、一緒にいいライブをしたりというのは前提としてあって、それ以外にも遠征先での飲み会だったりとか、そういうのも全部、何かしらの意味を成しているのかなって。下ネタしか話さないような飲み会も意味があったなって思います(笑)。 Shunsuke(Dr) でもRinが言っていたとおり、「DUNE」みたいなスタジアムロックを作りたいという目標は結成当初からずっとあって、それをやっと作れたという感覚はあったので。「俺ら、これを作れたんだ」っていう成功体験の共有みたいなものが、いろんなジャンルに挑戦する気持ちにつながったというか。それ以降の曲が結構ガラッと変わったのはそういうのがあるのかなと思います。 Taiseiwatabiki(B) あと、アルバムのタイミングでリード曲とかシングルというものに縛られないで作れたからこそ、制約がなくなったというか。自分たちのことを何も考えずに表現できる場所としてアルバムがあったので、もっと自分たちのやりたい表現ができるようになったみたいな感覚は結構あります。 ――たとえば今回のアルバムでいうと、「SERENADE for Brahma」はシングルにはならない曲だと思うんです。でもそういう曲だからこそBillyrromというバンドの面白さやユニークネスが存分に出ていると思うし。 Mol 僕らからしたらあの曲が一番Billyrromっぽいと思ってたりもするぐらいの曲なので。それをやっと音源化できたっていうのはうれしいですね。 ――そういうのも含めて、Billyrromというバンドの人格がはっきり見えるというか、シングルでは見えなかったバンドとしての肉体が見えるアルバムになった感じがします。あと単純にやっぱりスケールが大きくなりましたよね。 Leno(Key/Syn) やっぱりいろんなフェスやイベントで大きなステージを経験する中で、自分たちが鳴らしたい音のスケールがどんどん上がっていって。昔は小さいライブハウスでお客さんを踊らせてみんなでワイワイするみたいなテンションの曲が結構多かったんですけど、大きいステージで自分たちがやりたい音楽をどうやって伝えるかってなったときに、やっぱり求められるのはスケールの大きな、壮大な曲なのかなって思って。それで自分たちの作風も自ずとそっちの方向に向いていったというか。そのタイミングがちょうど「DUNE」という曲がリリースされたときだったのかなと思います。 Yuta Hara(DJ/MPC) だから根っこにある信念的な部分はあまり変わっていなくて。どちらかというと外側の部分が変化していった感じなんですよね。外側というのは、規模とかもありますし、そこで各々が感じるものというか。今年はそこがすごく変化してきた年なのかなって。 ――その結果がこのアルバムということですよね。いろいろなインタビューとかを見ていると、Billyrromってわリと成り行きではじまった感じがするんです。結成した時点で「こうなりたい」とか「ここを目指したい」っていうゴールがバチッと見えていたわけではないんじゃないかと。それがいつの間にか6人で同じ方向を向く集団になったというのが面白いなと。 Mol 最初はみんな就職する気満々だったしね。大前提としてRinに「フジロックに出るから就職するな」と言われていたけど、どこかしらで……Shunsukeとか、初ワンマンぐらいまでは就職する気だったんでしょ? Shunsuke そうっすね。全然する気だった。 Mol そのとき大学3年生? だからみんなで「よし、俺たちは就職しないでバンドでがんばろう」みたいな話は別にしてないんですよ。だからこれもアルバムの話とすごく通ずるものがあるなと僕は思うんですけど、ほんとにじわじわと6人の意識がただの遊びから本気の遊びに移行していったみたいな感じがあって。自然に、気づいたら「俺らバンドでやっていくよね」みたいなバイブスになっていたっていう。 Rin 自分は最初から本気だったんですけど、本当にガムシャラに進んでいく中で、気づいたらみんなそういう意識になってましたね。自分の感覚としてはみんなに「やろうぜ」と言ってはいたけど、それで別に俺は立ち止まったこともないし、手を差し伸べたという感覚ともまた違うんです。初ワンマンぐらいまで就職するつもりだったというのは知らなかったですけど(笑)。本当にみんなが同じ景色を見て意識が変わっていった。これからもそうやって視点が変わっていくだろうし、考え方も変わっていくし、結局そうやって変わっていくものに対して楽しむ姿勢があればそんなに心配はないのかなという感覚。それは最初から少なからずあったんじゃないかなと思います。このアルバムにも自分たちの今までのスタンスと、これからという部分が色濃く反映されているので、思っている以上に意味のある1枚じゃないかなと思っています。