予想外の「1→0→2」 日本代表は “最大の武器”をまだ生かしきれていない【担当記者コラム】
9人が4試合連続で先発
日本代表は、10月15日に開催された北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第4節で、オーストラリアと埼玉スタジアム2002で対戦。不運なオウンゴールで先制されるまさかの展開となったなか、1-1のドローに終わり、今予選の連勝が3で止まった。 【画像】日本代表のオーストラリア戦出場15選手&監督の採点・寸評を一挙紹介! 2選手に7点の高評価。MOMはキレキレだった13番 それでも、3勝1分けの勝点10で、トップを独走しているとはいえ、やや気になる点がある。森保ジャパンは、“最大の武器”を活かしきれていないのではないか。 いまの日本代表の特長といえば、やはり選手層の厚さだろう。例えば、この10月シリーズでは、9月に続いて、冨安健洋と伊藤洋輝という主力DFの2人が怪我で選外となったが、不在の影響をそれほど大きくは感じさせていない。 ただ、2チーム分を作れるほどの戦力を有しているにもかかわらず、予選に突入してから、森保一監督はスタメンの変更をほとんどしていない。鈴木彩艶、板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹、守田英正、堂安律、三笘薫、南野拓実、上田綺世の9人が4試合連続で先発している。 前の節からの変更は、バーレーン戦が1か所(久保建英→鎌田大地)、サウジアラビア戦では0、オーストラリア戦では2か所(鎌田→久保、遠藤航→田中碧)のみ。遠藤の体調不良がなければ、オーストラリア戦も入れ替えは一人のみだっただろう。 右ウイングバックの伊東純也の切り札的な起用も悪くはないが、言うまでもなく先発する力のある実力者であり、オーストラリア戦ではもう少し長い時間プレーしてほしかった。 左ウイングバックもしかりで、三笘薫がオーストラリア戦の後半にパフォーマンスが低下した点、キレキレの中村敬斗が途中出場からわずか6分で同点弾となるオウンゴールを演出した点を考えれば、どこかでスタッド・ドゥ・ランスの24歳をスターターに抜擢しても良かっただろう。 実際、三笘は今シーズンにコンディションがいい理由のひとつに、所属するブライトンで昨季は出場したヨーロッパカップ戦がなく、週1に1試合である点を挙げている。 その昨シーズンに怪我を繰り返した点を考慮すれば、休息を与えるのも重要だろう。ましてや、ウイングバックはクラブで主戦場のサイドハーフよりも運動量が要求される。中村や前田大然がいるのだから、ベンチスタートの試合があってもいいだろう。 ローテーションは疲労負担だけでなく、競争心を生み、モチベーションの維持にも繋がる。 準備期間が少なく、結果も残しているため、いじりたくない気持ちも分かるが、他国も羨む層の厚さを、もっと生かす手段はあるはずだ。 取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)
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