AI新興アンソロピックと提携 パナソニック、AI関連35年に3割へ
パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規グループCEO(最高経営責任者)が7日(現地時間)、世界最大規模のテクノロジー見本市「CES 2025」の基調講演に登壇し、AI(人工知能)関連の売り上げを2035年までにグループ全体の約3割に引き上げる方針を示した。生成AI「クロード」を開発する米アンソロピックとのグローバルな戦略的提携も発表。AIを軸としたビジネスへの変革を推進していく構えだ。 【関連写真】ヨーキー松岡氏は「Umi」を発表した 「(AIによる)変革がパナソニックの全てを変える。それが『Panasonic Go』だ」。基調講演で楠見グループCEOは、AIによる成長戦略「Panasonic Go」を打ち出した。 この成長戦略は、AIを活用した製品やシステム、ソリューションなどを拡大させ、35年までにグループ売上高の約3割をAI関連で稼ぎ出すことを目指すものだ。創業者・松下幸之助氏が1932年5月、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指して策定した25年を1節とする「250年計画」の第5節(2032年~56年)に向け、AI中心のビジネスへの変革を世界規模で加速する狙いがある。 その一環として、アンソロピックとの提携を生かし、パナソニックHD傘下の北米会社が発表した新サービス「Umi」にクロードを組み込み、今年中に米国で提供を開始することも明らかにした。 基調講演に登壇したパナソニックHD執行役員兼Panasonic Well本部長のヨーキー松岡(松岡陽子)氏は、「UmiはAIを搭載した家族のウェルネスコーチ。家族のケアや調整、つながりをサポートする」と説明する。 世界最大の高齢者団体であるAARP(全米退職者協会)やウーバーなど複数のパートナー企業とも協業。サービスの利用拡大を目指すとともに、パナソニックグループのAI事業の底上げにつなげていく。 パナソニックは、グループ全体でAIの活用を積極化している。21年4月には米ソフトウェア大手のブルーヨンダーを子会社化すると発表。AI活用のプラットフォーム開発などで、100億ドル以上を米国で投資している。 AIの社内活用も推進している。パナソニックコネクトは23年2月から、チャットGPTをベースとしたAIアシスタントサービス「ConnectAI」を国内全社員約1万2400人に展開。1年間の運用で延べ18.6万時間の労働時間削減につなげるなど成果を出している。 大画面テレビやルームエアコンなどの主要な家電製品にもAI技術を搭載しているほか、昨年11月には、PHP研究所が保有する著作物や講演といった膨大な資料を基に、幸之助氏を再現するAIを開発するなど、活用の幅を広げている。
電波新聞社 報道本部