食べ物をキャラクター化した絵本 ヒット作が続々 “ぎょうざが主人公”の中身は
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パンやおすしなどの食べ物をキャラクター化した絵本シリーズが近年、ヒットしています。そんな中、今月、絵本賞の大賞に輝いた“ぎょうざが主人公の絵本”を取材しました。 後藤楽々キャスターが訪れたのは、東京・豊島区の旭屋書店です。絵本がディスプレーとともに平積みされていました。 後藤楽々キャスター 「ぎょうざだらけ!」 「ぎょうざが いなくなり さがしています。私の記憶だとぎょうざはいなくならない」 なんとぎょうざがテーマの『ぎょうざが いなくなり さがしています』。去年発売されると、絵本では異例のヒットといわれる5万部を突破したそうです。今月1日には児童書の担当者が選ぶ『第8回 未来屋えほん大賞』に選ばれました。一体、どんなお話なのでしょうか? 物語は、とある街に町内放送が流れるところから始まります。 米澤かおりキャスターの朗読 「ほんじつ ごご2じごろ おおばまち にらやまの ぎょうざが いなくなり さがしています」 すると、町内放送を聞いていた「としおくん」が… 米澤かおりキャスターの朗読 「ぎょうざがいなくなった!?」 “焼きぎょうざがいなくなる”という不思議な出来事にとしおくんの妄想が止まりません。 米澤かおりキャスターの朗読 「すいぎょうざとけんかして…なきながら おみせを とびだしたかな」 「やきぎょうざなんてやってられないよ!とか、ぐちっていたりして。」 としおくんの“妄想”とともに話が進むため、読者の想像が膨らむのも魅力です。絵本を手がけたのは、この作品で去年デビューしたばかりの玉田美知子さん。玉田さんは絵本作家を志し、美大を卒業。子育てが落ち着いた今、長年の夢を実現させました。 後藤楽々キャスター 「ぎょうざがお好きなのかなって」 作者・玉田美知子さん 「ぎょうざ好きです! ぎょうざが逃げ出したら面白いんじゃないかというのはすぐに思いついたアイデア」 実は、このぎょうざのように、身近な食べ物を擬人化した絵本が今人気なのだそう。 おすしが主人公の『おすしが ふくを かいにきた』。“おすしが服を買いに行く”という斬新なアイデアがヒットし、シリーズ累計17万部を突破しました。また、9月11日に最新作が発売された『パンどろぼう』シリーズ。パンが好きすぎる“パンどろぼう”の奇想天外な物語が幅広い層に刺さり、累計で370万部を突破。ベストセラーになりました。 『ぎょうざが いなくなり さがしています』作者・玉田美知子さん 「昔は教育的な絵本が多かったけれど、大人が読んでも面白いと思える絵本も増えている」 ただ食べ物が登場するだけでなく、食べ物が冒険をするという意外性が子どもにも大人にも受けているといいます。絵本を出版した編集長は… 講談社 幼児図書編集長 片寄太一郎さん 「保護者とお子さんが読む、保育士さんとお子さんが読むというシーンが圧倒的に多いと思うので、食べ物が動いている、“何これ!”って大人が心に引っ掛かる。それはものすごく大事」 そして、作者の玉田さんがこだわったのは何度も読み返したくなるような仕掛けです。 『ぎょうざが いなくなり さがしています』作者・玉田美知子さん 「お母さんからの手紙、何が書いてあるのかな、とか」 ストーリーに直接関係ない置き手紙もあえて読めるようにしていたり、標識の何気ない数字にも語呂合わせが隠れていたりと発見感のある描写が大人もハマる魅力です。 『ぎょうざが いなくなり さがしています』作者・玉田美知子さん 「想像の余地を残すような絵本ワクワクする絵本を作りたい」 高まる絵本人気を受け、書店も売り場を強化しています。東京・渋谷区の『代官山 蔦屋書店』では絵本の取り扱い数を2011年のオープン当初に比べ、10倍に拡大させたといいます。絵本に力を入れる理由とは? 代官山 蔦屋書店 キッズコンシェルジュ・瀬野尾真紀さん 「リアルな書店を残すために、まずは子ども時代から面白い本に触れて本好きを育てたい」 大人もハマる、イマドキの絵本。次はどんな物語と出会えるのでしょうか。