輪島塗、復興半ばでまた被災 「何から手を付ければ…」
石川県の能登半島を襲った記録的豪雨は、元日の能登半島地震で大きな被害を受けた伝統産業の輪島塗にも再び影を落とした。62店舗の漆器を展示、販売し観光客を多く集める輪島塗会館(輪島市)に土砂が流入し、地震で仕事場を失った職人のため敷地内などに設置された仮設工房もほとんどが被災。4月に段階的に営業を再開し地震被害から復旧しつつある中だっただけに、関係者らは「何から手を付ければ。今年は散々だ」と肩を落とす。 「経験したことの無い水害だ」。輪島漆器商工業協同組合事務局長の隅堅正さん(66)は、漆器を手に取り困り果てた表情でつぶやく。ずらりと漆器が陳列された会館では、床に茶色の土砂が1~2センチ積もり、奥にある事務局の部屋のカーペットにまで泥水がしみこんでいた。 隅さんによると、雨は21日午前10時ごろにピークを迎え、会館近くの川の水位が急上昇したため急いで施錠し、避難した。 隅さんは「みんな大変な中で弱音も吐けない。正直、復旧に向け具体的に何をしたらいいのかまだ考えられない」とため息をつく。