両手を上げて歓声に応える王貞治氏（撮影・佐藤厚）

　「巨人０－２ソフトバンク」（２８日、東京ドーム） 　今季８度目の完封負けを見届けた試合後、交流戦初采配となった巨人・阿部慎之助監督は深いため息をついた。「投手は責められないですよね、ずっと」。先発の山崎伊は最少失点で試合を作り、七回以降は小刻みな継投で援護を待った。なかなかかみ合わない打線。数は少ないが、チャンスはあった。 【写真】ジーンと胸アツのシーン！　張本氏とグータッチに笑みがあふれる王貞治氏 　六回だ。無死一、三塁の好機でオコエが打席に入った。阿部監督はセーフティースクイズのサイン。初球からバントの構えを見せ、ボール、ファウル後の３球目。打球は高く弾んで、甲斐が捕球した。一走だけが二塁に進塁し、場面は１死二、三塁へと変わった。 　結果的に続く吉川が二ゴロなど、後続が倒れて無得点だった。「王貞治ＤＡＹ」として開催された記念試合。テレビ解説も務めた同氏は、この作戦を「打つしかないですよ、あららら…」と解説した。消極的にも映る攻撃を、阿部監督は「ベンチの都合のいいサインになってしまうんですけど」とした上で、打球判断で三塁走者を進められなくても、一打逆転の形ができる攻撃を選択した。 　「ノーアウトでしたしね。１死二、三塁塁で逆転の形は作れた。そこで打てなかったというだけです」。指揮官の言葉通りに同点、逆転を狙って積極的に動いた結果。裏目にはなったが「まだ始まったばかりなので明日、勝てるように」と前を向く。「秋に会いましょう」といった王氏の激励に「会えるように頑張ります」と返した。目指すは日本シリーズでの再会。黒星スタートを力に変えたい。