地方創生として「フェス」は有効か? 福島フェス『LIVE AZUMA』主催者に訊く
「福島」と「人」を繋げるフェスの工夫
―さきほどフェスを続けるには信条や意志が大事という話がありましたが、坂口さんが感じていらっしゃる、『LIVE AZUMA』主催者たちのブレない想いとはどういうものですか? 坂口:今の事務局メンバーで初めて話した会議室のことがまだ忘れられなくて。みんな「福島のために」とアツかったんですよ。実は2021年に、『PARK LIFE 2021』という前段のフェスをあづま総合運動公園でやったんです。コロナ真っ只なかのタイミングに「新しいフェスをやりたいです」と言い出すなんて、正気の沙汰じゃないですよね。あの時期に、しかも無料でフェスをやろうと言い出す人たちが、生半可な気持ちであるわけがなくて。最初から「誰かのためにやる」という気持ちが強く、それはずっと残っていくだろうなと感じています。弊社の社長もよくその時期に快くフェスの立ち上げをGOしてくれたなと思います。その男気には感謝の気持ちしかないですね。 佐藤:『PARK LIFE 2021』に関しては、もともと2020年に向けて準備していて、それがコロナという事情があって、しかも東京オリンピックも延期しているなかで、「また延期するのはさすがに」と思うところがあったんですよね。やりかた次第でやれることがあるんじゃないかなと。当時は飲食店さんがなかなか苦しいタイミングで、お声がけしたら、普段あまりイベントに出ないような飲食店さんからも「ぜひ出たい」と言っていただきました。あの時期はイベントもほとんどなかったので、パートナーの方々とお仕事をご一緒する機会を作ることができて、結果的にはすごくよかったと思います。 ―『LIVE AZUMA』は、アート作品の展示にも福島出身のアーティストが参加されていたり、フードやお酒だけでなく、漆器や雑貨の販売などにおいても、福島・東北の文化を継承し広めようとする意思を感じます。 佐藤:ほとんど我々から出店者さんにお声がけさせていただいています。福島や東北でこだわりを持ってやっていらっしゃる方に出ていただいているので、それが「あそこのご飯美味しかったよね」とか「出店の雰囲気いいよね」という評価に繋がっているんじゃないかなと思います。今年はプロダクト系の出店も増えて、地元の伝統工芸、伊達地域のニットを展開するファッションブランド、会津の漆器を扱っているお店などが出ます。『LIVE AZUMA』という場を使って、お客さんと繋がってもらいたいんですよね。 坂口:特産品のタオルがとにかくフカフカで心地よくて。スタッフがみんな持って帰りたいと言うくらいに評判の一品ですよね? 佐藤:もともと岐阜県に本社があるタオルメーカーさんなんですけど、全町退避を余儀なくされた双葉町に工場を新設されたんです。『LIVE AZUMA』にご協賛いただいて、アーティストさんにもご要望があればお渡しさせていただいています。 ―肝心な音楽のラインナップに関しては、どのような想いで選定されたのでしょうか? 坂口:『LIVE AZUMA』はジャンルレス。基本的には「かっこいいと思っているアーティストさんにオファーする」という。福島の方が普段地元で見られないアーティストさんを含め、新人や大御所問わず、しっかりお迎えをして、素晴らしいパフォーマンスをお披露目いただける機会にしたいと思っています。 佐藤:今回もたくさんの著名なアーティストの方々に来ていただけることになりました。フェスの認知度が高まったことも相まって、今年は例年以上に反響をいただいています。 坂口:今回も、タイムテーブルの時間被りはできるだけ少なくしています。2つの有料ステージ間の移動時間も徒歩3分程度なので、頑張れば全アーティストをコンプリートできるようになっているんです。無料のDJ STAGEにも素敵なDJさんばかりに出演いただくのでご注目いただきたいですね。朝から晩まで一日中楽しんでもらえるラインナップになったと思います。 佐藤:「福島は遠い」というイメージを持たれがちなのですが、実はそうじゃないよっていうところも『LIVE AZUMA』を通してわかっていただけるといいなと思っています。東京駅からの新幹線と福島駅からのシャトルバスを組み合わせても約2時間、実は大宮駅からは約1時間半で会場に到着できるんです。日帰りの方も多いので、関東や東北地域のみならずあらゆる方々にいらしていただいて、福島の見所を発見していただけると嬉しいなと思います。 Edit by Yukako Yajima 『LIVE AZUMA 2024』 2024年10月19日(土) 、20日(日) OPEN 10:00 / START 11:00 福島県・あづま総合運動公園 / 福島あづま球場
Yukako Yajima