赤く染まった仙台・広瀬川 鉄さび原因は「亜炭坑」?戦後しばらく多数存在 その正体は?〈宮城〉
仙台放送
10月30日、仙台市内の広瀬川の水が赤く濁っているのが確認されましたが、近くで「鉄さび」のようなヘドロ状の固まりが見つかったことが分かりました。かつて広瀬川の周辺には、石炭の一種である「亜炭」の炭坑があり、そこから鉄さびが流れ出たとみられています。 10月30日朝、赤く濁った広瀬川。霊屋橋から宮沢橋の付近で2キロ近く変色が確認されました。その後、昼過ぎには川の色は元に戻り、魚の死骸なども確認されませんでした。 仙台市などが原因を調べたところ、見つかったのは…。 仙台市下水道南管理センター 高橋史典係長 「こちらが採取しました、自然由来の“鉄さび”を含むとみられる堆積物となります」 Q.臭いないんですね 「臭いなどは特にないです」 鉄さびを含むヘドロは、広瀬川につながる太白区郡山で見つかりました。地中の雨水管、その奥にあるのは…。 仙台市下水道南管理センター 高橋史典係長 「こちらの方に亜炭鉱の廃坑跡と思われる接続があり、流れの先に茶色い固形のこういった堆積物がありますので、そういったものが今回の原因ではないかと」 石炭の一種、「亜炭」とは。地質学が専門の東北大学の永広昌之名誉教授です。広瀬川沿いに、昔から亜炭が多くあったことを示す地層を案内してくれました。向かったのは青葉区追廻地区。 東北大学 永広昌之名誉教授(地質学) 「ここでは顕著な亜炭というのは2層あるんですけど、一つはそこに真ん中あたり真っ白な厚い8メートルくらいの層がありますが、その直下を見ていただきたいんですけど、そこに草むらのところから黒い層が厚さ1メートルくらいのものが横に伸びているのが見えると思うんですが、亜炭層なんですね」 永広名誉教授によりますと仙台市内では特に青葉山エリアから八木山エリアにかけて亜炭層が多くあり、今も広瀬川沿いではよく見かけられるということです。青葉山近くの広瀬川の支流に行くと…。 永広昌之名誉教授「これ亜炭」 記者「これ亜炭ですか?」 永広昌之名誉教授「これも亜炭」 いたる所に、亜炭があったんです。 永広昌之名誉教授「手ごろなサイズでこれも亜炭」 亜炭は一般的な炭と似ていて叩くと割れ、色は黒いのが特徴です。「亜炭」は石炭の一種で、戦前から戦後にかけて家庭用の燃料として広く利用されていました。そのため、かつて広瀬川沿いには多くの亜炭の坑道があり、今もその名残が多く残っていると言います。 東北大学 永広昌之名誉教授 「戦後しばらくの間は掘っていたんですけど、もう亜炭が燃料として使われなくなると亜炭鉱自体が廃坑になって埋め戻す資金がないので、入口をふさぐくらいで、中は坑道がそのまま残って地下水がたまったりして、地層中にも鉄分はありますから、そういうのがたまると色んな赤茶さびた水となって残っているのがあり得る」 亜炭鉱から鉄分を多く含んだ地下水が流れ出て、自然にこのような堆積物となり、川に流出した可能性があるということです。 仙台市下水道南管理センター 高橋史典係長 「過去にも同様の事例が生じていますけれども、その際に水質試験などを行った際には人体などには影響がないことは確認されています」 仙台市などは堆積物の分析と、除去を急ぐ方針です。
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