自販機で障がいを持つ人や高齢者をサポートする機能が進化、「Coke ON」アプリのアクセシビリティ拡充/日本コカ・コーラ
日本コカ・コーラは3月25日、障がいのある人や高齢者が、より便利にコカ・コーラ社の自動販売機が利用できるように、コカ・コーラ公式アプリ「Coke ON(コークオン)」内のアクセシビリティ(サービスの利用しやすさ)機能を拡充した新バージョンを公開した。アプリ操作画面の視覚情報だけでなく、スマートフォンのバイブレーションの触覚情報や、音声読み上げなどの聴覚情報を活用できるようになるという。 自販機での購入にあたって、車いすや高齢の人から、“ボタンの位置が高くて届かなくて押せない”“買いたい飲み物の場所がわからない”などの声があったが、アプリのアップデートにより、いっそう多くの人が使いやすくなる。 これは、最新の「Coke ON」アプリに更新すると、全国48万台の「Coke ON」対応自販機で利用できるもの。スマートフォンアプリの機能を使用し、自販機を探してドリンクの購入をアシストする一連の仕組みを導入するのは国内初という。
同社の田中美代子副社長は、「現在、世界では15%の人々が何らかの障がいを抱えているとされる。コカ・コーラは世界200か国以上の多様なマーケットでビジネスを展開し、性別や障がいに関係なく、多くの人をサポートしてきた歴史がある。2024年4月には、事業者による障がい者の方々への合理的配慮の提供が義務化されるが、当社は自販機も含めさまざまな障がい者支援の取り組みを行う」と語った。 日本コカ・コーラは、2022年にミライロ(大阪府大阪市、垣内俊哉社長)と共同で実施した障がいを持つ「Coke ON」利用者を対象とした調査を実施し、これまでの「Coke ON」サービスについて、決済方法や商品を選択する時の利便性で高い評価を受けたという。ただ、一方で「どれがコカ・コーラ社の自販機か分からない」「指が不自由でスマホを安定させにくい」などの声もあり、自販機を探す、接続するといった“自販機を利用する一連の体験”については課題があることがわかったという。 日本コカ・コーラマーケティング本部の宇川有人ディレクターは次のように語る。「『Coke ON』のサービスは視覚情報に頼る部分が多いと考え、スマートフォンのバイブレーション機能によって近くの自販機が分かる機能や、表示の大きいクイックメニュー機能などを導入した。ただ、まだまだ改善の余地はあると思う。“もっとみんなの自販機へ”をテーマに、利用される方々の声を生かしていきたい」。4月下旬には、音声によって自販機内の製品を選択できる機能も追加する予定だ。 日本コカ・コーラのレハン・カーンバイスプレジデントは、「現在、障がいや高齢は国内に4000万人いる。そのような消費者が自販機を利用しやすくなるよう、今後もアクセシビリティの改善に努める。そのような活動を通じて、ユーザーを増やしていければ」と話した。
さらに、日本コカ・コーラは4月8日から、ミライロが提供するデジタル障害者手帳「ミライロ ID」と連携し、「Coke ON 障がい者割引」を開始する。障がいを持つ人の認知と利用の拡大を図るねらいだ。ミライロの垣内俊哉社長は、今回の「Coke ON」アプリの進化について、「間違いなく障がいのある人たちにとって新しい生活のインフラになるだろう。こうした仕組みが必要なのだと世界に示せる、世界に誇れるアクションになると期待している」と語った。
食品産業新聞社
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