「梅雨に入ると頭痛がひどくて集中できない」…しぶとい不調「男性の気象病」が増加中! その解決策は
残業、座りっぱなし、ストレス…メンテナンス不足で不調が悪化
男性の特徴として「不調があっても我慢する人が多い」と久手堅医師は指摘する。そのせいで1つだけだった不調が複数になり、晴れている日でも体調が悪くなるなど、“根深い不調”に進行するのだ。 「限界まで我慢した結果、体がいうことを聞かない、メンタルもしんどい、頭痛薬が効かなくなった、寝ても寝ても眠いなど、日常生活に支障をきたしてから受診されます。それでも、休むわけにはいかない、平日は仕事だから受診できないというんです。働き世代の男性には、不調は体からの“休んでのサイン”と捉えてほしいです」 自分が気象病かどうかを確認するには、次の2つのチェック項目がある。 【気象病チェック】 (1)天候が悪いときに体調が悪い (2)雨が降る前や天候が悪化する前に、何となく天気の変化が予想できる 久手堅医師は、(1)(2)の両方に当てはまる人は、高確率で気象病と考えられ、どちらか1つに当てはまる場合は、気象病の可能性は約80%という。また、体のメンテナンス不足が続くと、気象病の症状が強くなりやすい。 「気象の影響を受けやすい、つまり気象病になりやすい人に共通する特徴として、デスクワークや長時間のパソコン、スマホの使用が挙げられます。 首・肩周りの骨や筋肉に負担がかかるため、頭痛や倦怠感がひどくなります。残業時間が長く、朝から夜まで座りっぱなしの男性は特に注意を。そのほか、ストレッチや体操など体のケアをしていない人、ストレスが多い人、睡眠不足の人も当てはまります」 ◆耳や顔のマッサージ、ストレッチで症状がラクになる 雨が降るたびに体調が優れないと気持ちも憂うつになるが、自分の不調が「気象のせい」と分かれば、天気が崩れる前に対策ができる。そのためにも、前述したチェック項目で気象病かどうかをまず知ることが大事だ。 「気象病かもしれないと思ったら、気圧予報を元にした健康管理アプリで数日先の気圧を確認する習慣を持ちましょう。 『明日は調子が悪くなるかも』と思ったら、仕事を早めに切り上げる、早寝するなどして『あとちょっとがんばろう』をやめること。低気圧前は、無理をしない生活を心がけましょう」 気象変化が起こる前のセルフケアとして、耳のマッサージが効果的だ。 【耳マッサージのやり方】 (1)人差し指と親指で耳をつまんで、真横・上・下などに気持ちいいと感じる程度に引っ張る。 (2)耳をつまんだまま前に回したり、後ろに回したりしてマッサージする。 そのほか、頭痛対策にこめかみを指でぐるぐる回すようにマッサージする、頬骨の下のあご周辺を指でマッサージするのもおすすめ。さらに、パソコン作業が続くときは、タイマーをかけて1時間に1回ストレッチするなど、固まった体をリセットする時間を持つことが大切だ。 「セルフケアを続けてもつらい場合は、早めに医療機関を受診してください。 まず、自分の中でつらい不調ベスト3を挙げます。頭痛なら頭痛外来や脳神経外科・内科、倦怠感は内科、めまいは耳鼻科、メンタル不調がひどいなら心療内科や精神科というように、各診療科で基礎疾患がないかどうかを診てもらってください。 それでも異常がなく原因が分からない場合に気象病外来を受診するとスムーズです」 不調を放っておくと、あっという間に借金のように膨れあがる。「体調不良を我慢してもいいことは何一つない」と久手堅医師。早めに対処することで、結果的に職場に迷惑をかけることが減り、不調が軽減すれば仕事のパフォーマンスが上がる。気圧が不安定な梅雨の時期こそ、心と体のメンテナンスを心がけたい。 久手堅 司(くでけん・つかさ) せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。東邦大学附属 医療センター大森病院、済生会横浜市東部病院を経て、せたがや内科・神経内科クリニックを開設。’16年に「気象病・天気病外来」を立ち上げ、これまで5000名以上を診察。コロナ禍以降、オンライン診療も開始。著書に『低気圧不調が和らぐヒントとセルフケア 気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)ほか。 取材・文:釼持陽子 編集・ライター。1983年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。
FRIDAYデジタル