「置き配」の窃盗がじわり増加中 被害にあえばほとんどが「泣き寝入り」で宅配ドライバーも不安視
「置き配」は防犯対策としても有効だ。強盗が宅配業者を装う手口があり、警察は業者と対面することなく荷物を受け取る置き配を推奨している。だが、置き配の荷物を狙った窃盗もじわり増えている。 【写真】「置き配」、確かに無防備に見えるが… * * * 今年9月、近畿地方に暮らす40代の男性はインターネットの通販サイトでモバイルバッテリーを注文した。荷物の到着日は外出予定だったので、ガスメーターボックス内への「置き配」を指定した。 帰宅後、ガスメーターボックスを開けたが荷物は見当たらない。宅配業者に問い合わせると、配達時の画像を見せられた。そこには確かに荷物が置かれた様子が写っていた。 ――何者かに盗まれてしまったのだ。 男性は宅配業者に対応を求めたが、返答は「指定された場所に荷物を置いた時点で配達は完了となるため、後はお客様の責任になります」。 宅配業者から「通販サイトに相談するように」とうながされて問い合わせたものの、対応を断られた。男性は警察に盗難届を出した。被害額は約8000円。 こんなケースもある。同10月、首都圏に住む30代の女性はフリマアプリを利用してネックレスを販売した。荷物を発送し、しばらくするとスマホの画面に「配達済み」と表示された。 だが、いつまで経っても購入者から受け取り評価のメッセージが届かない。 その後、購入者から「置き配を指定したところ、盗難に遭い、商品を受け取っていない」という連絡を受けた。女性は「受け取り評価がないと、商品取引が完了しないため、入金されないかもしれない」と困惑する。 置き配は非接触で荷物の受け取りができることから、コロナ禍に感染症対策として注目された。宅配業者にとっては再配達の負担を減らし、効率化が図れるというメリットもある。 昨今、凶悪化が報じられる「強盗」対策としても有効で、「宅配業者の訪問があったときは、できる限り業者と対面することなく、非対面での受け取りを希望してください」と警視庁の担当者は話す。 だが、ここへきて置き配の「盗難」がじわり増えている。