「置き配」の窃盗がじわり増加中 被害にあえばほとんどが「泣き寝入り」で宅配ドライバーも不安視
■保険での救済は2%未満 国民生活センターによると、置き配された荷物の盗難の相談が増え始めたのはコロナ禍の2020年。22年には置き配の盗難リスクについて、注意喚起を行った。現在も被害は増加傾向にあるという。 残念ながら、置き配の窃盗犯が検挙され、商品が戻ってくることはめったにない。ほとんどのケースは泣き寝入りだ。 昨年度、東京都内で「置き配が盗難に遭った」という消費生活センターへのトラブル相談は368件。今年度は上半期だけで234件と、かなり増えている。 このうち、盗難保険の補償によってトラブルが解決したケースは昨年度で5件、今年度上半期は5件。 「盗難被害のうち2%弱しか補償されていません」と、東京都消費生活総合センター・相談課長の高村淳子さんは明かす。 まず、置き配盗難保険自体が少ない。大手宅配3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)のうち、置き配盗難保険を用意しているのは日本郵便だけだ。1事故当たりの支払い限度額は1万円(送料、消費税および使用ポイント分を含む)。 補償を受けるには被害者が盗難に遭った証拠を集め、警察に盗難届を提出しなければならない。保険金請求フォームに盗難届の受理番号を記入する必要があるからだ。ところが、盗難届が受理されないケースが多いのだ。 「一番の問題は、『盗難』なのか、『誤配』なのか、よくわからないことです」(高村さん) ■商品が再送されることもあるが 「置き配」では、現在、ほぼすべての宅配業者が指定された場所に荷物を置いた時点で「宅配完了メール」を荷受人に送信する。 配達した状態の写真を添付せず、メールだけを送信する業者もある。この場合、荷物が届いていなくても、「誤配」の可能性が生じる。確実に荷物が配達されたことを証明できなければ、盗難届は受理されない。 また、「置き配」で盗まれる荷物の多くは通販サイトで購入した商品だという。 同センターは「注文した商品が届いていない」旨を通販サイトにメールするか、書面で伝え、調査を依頼することをアドバイスする。通販サイトに相談した時点で、同じ商品を再送してくれることもある。しかし、対応を断られれば、「まず、泣き寝入りとなってしまう」(同)。